『みすず』9月号 | 古本屋へGO!

古本屋へGO!

古本屋でのちょっと得した話や本をさがしまわったときのエピソードなどを中心に書きます。他にはフリーペーパーやPR誌の紹介など,本や雑誌に関わるささやかな日常を書いていきたいと思っています。

みすず書房のPR誌です。

今月も外山滋比古氏の巻頭エッセイが現代日本の教育を斬りすてていて痛快です。わけもわからない「知識」を詰め込み,役に立たない「経験」をさせ,はき違えた「自由」を与えて子どもをだめにしているということです。

「ゆとり」がだめだから今度は「学力」,「学力」といってますが,結局は同じことの繰り返しのような気がします。本質が変わらなければ何も変わらないと思います。

今月は政治学者ハリー・ハルトゥーニアンの論考「過ぎ去ることのない『残滓』~近代日本における歴史,天皇,そして神社」が掲載されています。21ページにわたる重く深い内容ですが,外国人から見た日本の政治・宗教・天皇について読んで考えさせられました。

かつての「期待される人間像」なども取り上げられていましたし,衝撃的なのは近年の「お国のために命を投げ出してもかまわない日本人を生み出す」という言葉です。ちょっと右に傾いていないかと思ってしまいます。


詩人,新川和江氏の連載「誌が生まれるとき」,今回は自分自身のことを題材として取り上げています。

息子は「ひげの大男」になり,夫は「木の箱に納まり」,自分は「かつては若い母親だったこともある女」というように家族と自分を客観的にみているような表現を味わえました。


他にも,中井久夫氏が認知症の人の立場から症状を考察したエッセイや立岩真也氏が社会科学と社会について考察していく連載などがあって今回も読み応えのある1冊でした。