3 | ヒカリカオル

ヒカリカオル

小説のブログです

 唸りを上げて立ち上がる。

産みの苦しみを感じさせるファンの回転音を聞きながらそっとフォルダーを開いた。


 「名もなき人」


 フォルダーから一枚の写真が吐き出される。2ヶ月前にチャットで知り合った男の子。

後姿で逆光、しかも座っているから背格好は勿論、性別だって曖昧な写真。彼が男だと名乗るから

男だと思っているだけに過ぎない。


 男性だとしたら随分華奢だ・・・そして綺麗なショートの髪の毛


 男性が砂浜で夕日を眺めているだけの写真を私は彼の後ろから殆ど毎日眺めている格好になる。

彼はどんな人で幾つで何をしているのかはわからない。たった2回、しかも偶然に入ったチャットで彼と

話しただけ、


 私はそのたったの2回で彼に恋をした。


 落ち着いたやり取りにチョット遅いタイプスピード、10時になるとお風呂に入るからという理由でログアウト

するところ、変な顔文字。私の何かが弾けて、思わず出た言葉が、「写メ下さい」だった。

 それ以来彼とは会えてない。




 きっと不思議な魅力をもった人。 



 今日も根拠のなく彼と出合ったチャットのウィンドウを開く