声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話 -7ページ目

声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

歌手、声優、俳優、芸人、ビジネス、一般、声に関心のある人に。
プロ、トレーナーも含め、トップレベルのヴォイトレ論を展開します。

さらに学びたい人は、一流になるための真のヴォイストレーニング https://vccarchive.hateblo.jp/

○よい声の条件とは

 

一般的に、よい声とは、どのような声をいうのでしょう。

まとめてみると、次のようなことになります。

 

1.息がしぜんに流れ、無理が感じられない

2.潤いとつや(音色)がある

3.太くて芯がある

4.声域が広く、声量がある

5.柔らかく、メリハリがきき、応用性に富む

6.長く出し続けても、大きく出しても、喉が疲れない

 

声が細く喉がすぐに疲れるという人や、声帯をすぐに痛める人もいます。

だからといって、俳優やヴォーカリストに向いていないとはいえません。

むしろ逆に、そういう人ほどよい声帯を持っている場合もあります。

もちろん、独自のトレーニングあってのものですが、

声が弱くても、自信をもってトレーニングに励むようにしてください。

 

○十人十色の声色

 

指紋と同様に、声にも、声紋というものがあります。

それをもとに個人の識別ができるので、犯罪捜査などに使われています。

(声の科学的分析については、私が、その第一人者と共著で出した本を参考にしてください)

これは、声がその人独自のものであるから可能なのです。

顔が似ている人や親子で声が似ているのは、共鳴のしかたが似ているからです。似た骨格をもつと似た声が出ます。

しかし、それをどう使うかで、せりふや歌は違ってくるのです。

自分だけの財産としての声も、そのままでは原石にすぎません。

丹念に磨き上げ、価値あるものにしていきましょう。

 

○声は自分だけの財産

 

自分の声帯は、世界でたった一つのものです。

それを磨いて、素晴らしい声を出す楽器にしていくのは、何にも勝る喜びではないでしょうか。

その楽器で、他の人に感動を与えられるところまで使いこなせてこそ、トレーニングも報われたというものです。

家を手放してバイオリンの名器を手に入れた演奏家が話題を呼びました。

声帯には価格がつけられません。

どんな大金持ちだって買うことができないからです。

それだけのものを手に入れようとするのに、なぜ、自己研鑽に時間やお金を惜しむのでしょう。

それは、本当に手にしたいと思っていないからではないのでしょうか。

 

[スキャット、ラップを取り込んだトレーニング]

 

スキャット、ラップの感じで歌う練習をしてみましょう。

本当に声がしっかりと出るようになり、ブレスの保持ができるようになったら、「ラララ」のスキャットで歌おうと、メロディがついていない同一音上のことばをラップで投げかけていても、聞くに値する声として、歌=音楽になってくるはずです。

 

ここでは、好きな曲の音をすべてドの高音(女性はラくらい)に変えて、リズムとことばの感覚で作品にしてみましょう。

それができたら、レやシに変えてみてください。

さらにミやソにしてみてください。

そのなかで、高い完成度をもって自由に声が操れるところの音域が、今あなたが余裕をもって歌える範囲(声域)なのです。

 

汽笛や汽船の音に感じるように、人間の声一つにも、それ以上の魅力、美しさ、情が入っているのです。

そこに立ち帰っては、さらに上の次元の世界へ挑戦しましょう。

この「ブレスヴォイストレーニング」は、そのための声の基礎づくりです。

 

[1オクターブの音をそろえるトレーニング]

 

最終的なチェックとまとめのトレーニングをとりあげます。

このレベルで初めて、一般に発声として行われている練習

(たとえばドミソミドとかドミソドソミドなど)を

やっても効果が上がるようになります。

 

1.「ハッ」とスタッカートで同じ音を5拍ずつ、下から上へ1オクターブを上降させます。このとき、音色が変わらないかどうかをチェックしてください。

 

2.「アーエーイーオーウー」とレガートで同じ音を5回ずつ下から上へ1オクターブを上降させます。このとき、音によって変わらないように気をつけてください。

 

3.「ドレミファソラシド」と1オクターブをスタッカート、レガートと、ともにもっともしぜんで発声しやすい声で出して、ポジションをつかんでください。

音に関しては1オクターブ位の内での様々な組み合わせを試してみてください。

 

このレベルができないうちの高音発声や離れた音(4度以上)をとる音程練習は、

発声トレーニングと分けて考えるべきと思います。