○声の成長と声域について
十代のうちは、自分の声域についてはあまり気にしなくてもよいでしょう。
身体という楽器自体が変わっていくのに、声の出る範囲を決めつける必要はありません。
声変わりしてからも、本当の大人の声として安定するには、何年か要するのです。
ですから、つねに柔軟に、自分の声の完成度を踏まえて無理のない声の使い方を心掛けたいものです。
変声期になると、男性の喉は、喉頭が「アダムのリンゴ」といわれるように前に突出します。そして、声帯が前後に長くなります。声帯が長くなると声は低くなり、男性特有の太い声になるのです。
変声期は、高音も低音も不安定で出にくくなります。
また、それまでと発声の感じが変わるので、うまく声を扱いにくくなります。徐々に自分の声に慣れるようにしてください。
変声期が終わったら、すぐに声が使えるのではなく、充分な訓練期間が必要です。
あわてて、無理な発声で、大切な喉を痛めないように注意してください。
女性にも変声期はありますが、男性ほど顕著な変化が表れません。
ともかく、声にパワーがついて、自由に使いこなせるまでには、時間がかかるのです。
あせらず基本的なトレーニングを充分にしておくことをお勧めします。
声帯の長さは、身長に比例するといわれます。低い声を出せる人は大体、背が高いのです。高い声は、声帯の使い方で伸ばすことができます。