「ブレスヴォイスコントロール」
ここからは、歌唱に応用する声について述べます。
ヴォーカリストにとっては、よい声であること、声域が広いこと、声量があること、それらは、一要素にしかすぎません。声が大きく出ることよりも、どこまでその声を自分の心身に結びつけてコントロールし、表現できるかの方が大切です。
自分の思うままに、身体でコントロールして出せるようになるのは、曲にメリハリを、歌詞に心を込めて、歌に活かすためです。
そのときの大きな要素が息の流れ、フレージングなのです。少々、ハスキーであろうが声がついていかなくても、息が流れていれば、そこに生命が通い、歌が生きてくるのです。
それと反対に、美しい声で上手なのに、何も伝わらない歌も、ずいぶんとたくさんありますね。
人、それぞれ歌への思い、考え方は違うので、否定はしません。まずは、自分が歌いにくくては、伝わるものが半減してしまうことは、確かでしょう。
何にしても息を声に、声を歌に結びつけ、ことばとメロディに命を吹き込むための練り込みが必要です。