○高音を出すときのイメージング(中高音域)
ここでは、高い音というのは、話す声の半オクターブから1オクターブぐらいで、ハイトーンのことではありません。そこで高い声を出すというのは、お腹の力をより多く使うことと考えてください(もちろん、歌にしか使わないハイトーンについては範囲外です。多くの場合、このまま使うことはありませんし、使えません。
とはいえ、使える人もまれにいます。
(相手の声を聞かないで述べる本では限界があり、また危険もあるので、私は、ハイトーンについては最低限の言及にしています。適性、必要性や可能性についても、個人差が大きいからです)
ギターで例えると、高くするにもいろいろとあります。
1.指で押さえるところを変える、つまり、弦の長さを短くする(声帯の長さ)。
2.細い弦を使う(声帯の質量。もって生まれたもので、簡単には変えられません)
3.強く弦を張る(声帯の緊張度、固くする)
弦を強くはじいても音の高さは変わりません。つまり、息だけを強くしてもムリだということです。ただ、声帯は、ギターの弦のように固定されていないし、生なので複雑です。もともと、声帯をギターの弦に例えるのはムリがあります。よくオーボエに例えられるのは、2枚のリートが声帯の役割にあたるからです。
ギターは、あまり強く弾くと弦が切れます。仮に切れない弦があったとしても、それを使っていると、今度はギターのボディが反ってくるでしょう。しかし、人間の身体は、自らに要求される力に耐えうるように力がついていくのです。これを利用しない手はありません。つまり、身体の力で「声のポジション」を維持できるようにしてやることです。
このとき、あごで抑えたり首に力を入れてはいけません。上から押しつけるのではなく、身体で下に保ってやることです。
発声においては、高い音になるほど、意識としては下へ引っ張られているように感じるようにすること、少なくとも階段を昇るイメージよりも降りるイメージを思い浮かべるようにしてください。つまり、高い音ほど低くイメージを浮かべることが大切なのです。(高くイメージして、高く声がでるのはあたりまえで、それがあたりまえにできたら、トレーニングなど不要でしょう)
大抵は強く声を出したら高くなります。発声する方だけでなく、聞き手の感じ方(耳)も考えなくては、片手落ちでしょう。