○共鳴
音が空気中を伝わるのは、音の波、つまり音波となるからです。
音の出てくるところは音源です。
ピアノでは、鍵盤を弾いたとき、
ピアノの中でその小ハンマーが弦を叩いて、音を出します。
バイオリンは弦を弓ですります。
トランペットは、マウスピースがついています。
ヴォーカリストで、その役割を果たしているのは声帯になります。
この声の原音(喉頭原音)は、鈍く音楽に使いようもないのですが、
これを楽器の本体である身体(声道)が共鳴させます。
そこで美しい音色が出るわけです。
ピアノも、バイオリンも、トランペットもドラムも楽器は、
共鳴する空間があります。
その音が、空気中に波となって伝わり、私たちの耳に届くのです。
ピアノ、バイオリンやギターのボディのなかに布をつめてみると、
ひびかなくなってしまいます。
ところが、多くの人は、声に対して、平気でこれと同じようなことをしているのです。
力をいれることは、共鳴を妨げます。
喉、あご、舌、頬、肩、首、このようなところに力を入れると、
声帯がうまく共鳴しなくなります。いわゆる喉声になってしまうのです。
簡単にいうならば、声がうまく出ないというのは、
この共鳴が妨げられているということです。
(もうひとつは、声帯そのものの問題がありますが、
これは日常会話に不自由しない人には、ほとんど関係ありません。
むしろ「声のポジション」の維持の問題の方が大きいでしょう)
会話はしっかりとした声でできるのに、歌になると、
途端に声がうまく使えなくなる人は、歌うことを一時忘れてください。
歌声よりMCの声の方が大きい人は、基本をやり直しましょう。
1分間に200回から400回も振動して声帯がつくりだす音をどう活かすかは、
理屈ではありません。
ですから、最初はあまり発音とか音高にこだわらず、
声をしっかりと出すことに専念してみるべきです。