◯トレーナーの条件
プロのヴォーカリストのトレーナーなら、同じくらいの力のある人には、
よいアドバイザーとなれるかもしれません。
しかし、初心者に教えるとなると、その力の十分の一も発揮できないものです。
日本のポップスの場合は、基本的なトレーニングを経て、
力をつけたヴォーカリストはあまりいないので、それも問題を複雑にしています。
その人の売りものとなるカラーは、他の人には通用しないものだからです。
それで初心者を上達させたり、似させたりできたところで、
この世界に二番煎じは、必要ないからです。
一方で、ヴォイストレーニングを声楽として
習ってきた音大卒というキャリアで教えている人にも、問題は少なくありません。
私自身は、声楽の発声法も、結局のところ、声という点では同じで、プロセスもチェックの方法も、大まかには共通すると思っています。
しかし、表現のスタイルが違うとすべて変わってくるのです。
声域を絶対優先にした高音獲得競争は、ポピュラーにはもち込まないで欲しいと思っていました。
でも、今やそこがもっとも大きな売りとなりつつあります。
ポピュラーは、キーを移動できます。これがポピュラーがポピュラーたる所以、その人があってはじめて歌があるのです。