○ことばを一つに
多くの人は、しぜんに使っている声の何音も高いところで歌っているでしょう。
パワーダウンしているのに、高い声域を取ってがんばっていることに壁を感じませんか。
でも、そこが、ことばから歌の転換点なのです。
トレーニングでは、その前のところで踏み留まって、声を確実に身につけることです。
たとえば、深く体から「ハッ」と言ってみます。
これを下の「ド」で出しましょう。うまくいかない人は前屈してやってみましょう。
お祭りの掛け声のように、お腹でそのときにきちんと「ハッ」と言えますか。
そうでしたら、のどはまったく疲れず、背筋に負担=支えがくるはずです。
腰の方から背骨を伝わって、声がまとまって出てくるような感じがよいでしょう。床や前の壁に大きくひびき、その反動が自分の体や足に感じられますか。
高い音になるほど体を使わなくてはできないし、体は疲れるはずです。
(もちろん、高音発声の原理は、強さによるものではありませんから、念のため)
ここでの高い音とは、歌では中音域くらいです。
それができたら、今度は二音で「はい」とか「あお」とか言ってみましょう。
それが二音に分かれて聞こえるのでなく、一つのことばに聞こえるのが理想的です。
一つの声のなかに、ことばの音がのるのです。
そして三音、「あおい」「とおい」など、音を増やしてください。
増えても一音、1フレーズ感覚で捉えます。