初心者とプロのヴォイストレーニングには、共通することもたくさんあります。
ヴォイストレーニングをしても、声そのものへの効果、音色、パワー、メリハリ、安定、説得力などがないという人は、多くの場合、「調整のためのヴォイストレーニング」をしている場合が多いのです。
これは、その人のもっている器を目一杯に使おうというヴォイストレーニングです。
一般的には、こういうのがヴォイストレーニングの主流です。
これは、プロのヴォーカリストであったり、長年のトレーニングを経てきた人には有効です。
一流のアスリートなら、調子を崩したとき、休みを入れ、リラックスして力を抜くことが、基本的な対処法です。
それと同じように、この場合、ヴォイストレーニングは、リラックスさせること、脱力させることが中心でよいのです。
声楽家のように、何年ものトレーニングを行なってきた人には正攻法です。
教える方も教えられる方も、声を理解し、身につけてきたレベルにあるからです。
ところが、これを、これから歌いたい人、上達していこうとする人に、そのまま当てはめるのはどうでしょうか。
多くは発声の初心者です。声にあまり関心がなく、少しでも早く歌えるようになりたいと思っている人たちです。
私は、リラックスして声を出していくことだけでは、大した成果が出ないことを知っています。
しぜんとうまくなるのが理想ですが、時間がかかり過ぎるので、強化、鍛錬するトレーニングが必要であると考えています。
※声楽のトレーニングのように、本当に長い時間をかけて少しずつ身につけていくのが理想であるのは、間違いないことです。正攻法です。
しかし、多くの人は、すぐに役に立たないと思うと、そういうトレーニングをやめてしまうでしょう。
本来、五年、十年というトレーニング期間を考えつつ、もっと早く、最低限、声を安心して使えるまでの基礎が必要ともいえるのです。