【令和5年(後期)教育原理 問5】
次の文は、ある国の保育についての記述である。どこの国のものか、正しいものを一つ選びなさい。
この国において、「学びの物語 Learning Stories」と呼ばれる、子ども一人一人にフィードバックされ、蓄積される保育記録が開発された。子どもそれぞれの変容を捉えるとともに、子どもが関心を持ち取り組もうとしていること、その過程で工夫したり考えたりしていることを学びの「構え disposition」として捉えようとしている。
1 ニュージーランド
2 イタリア
3 シンガポール
4 スウェーデン
5 イギリス
【解答・解説】
正解 1
ニュージーランドでは、幼稚園、保育所、プレイセンター、マオリの言語・文化を教える機関「コハンガ・レオ」など、さまざまな就学前教育・保育機関が設置されています。
1996年には、すべての教育・保育機関がよりどころとする幼児教育カリキュラム「テ・ファリキ(Te Whariki)」と、その記録・評価・フィードバックに用いる「学びの物語 Learning Stories(ラーニング・ストーリー)」が導入されました。
「学びの物語 Learning Stories」は、子どもたちの育ちや経験を観察し、写真や文章などの記録を通して理解しようとする方法であり、自らも保育者であったマーガレット・カー(Carr,M.)を中心に開発されました。
「学びの物語 Learning Stories」では、子どもそれぞれの変容を捉えるために、子どもが関心を持ち取り組もうとしていること、その過程で工夫したり考えたりしていることを、学びへの「構え disposition」として位置づけ、この「構え disposition」がどう育つか、という視点で子どもの成長を捉えていきます。
(全国社会福祉協議会「最新 保育士養成講座 第2巻 教育原理」p150・151参照)
【コメント】
ニュージーランドの就学前教育・保育については、平成時代の「教育原理」では出題はみられなかったのですが、令和3年(後期)問7、令和4年(後期)問7、そしてこの令和5年(後期)問5と、3年連続で出題されており、急激に、頻出重要事項になってきています。
(参考:超重要)
<また出る過去問分析 教育原理(諸外国の就学前教育)【令和4年(後期)問7】>
「教育原理」においては、ニュージーランドだけでなく、デンマークの「森の幼稚園」や、イタリアの「レッジョ・エミリア・アプローチ」なども近年重要度が上がっているのですが、ニュージーランドが特に人気が高いという印象です。
今回の問題では、「コハンガ・レオ」、「テ・ファリキ」といった、これまでに出題されてきた典型ワードが入っておらず、逆に「構え disposition」とい新出ワードが入っていたので、少し迷った方もいらっしゃったかと思います。
ただ、上掲の【令和4年(後期)問7】で「学びの物語(Learning Stories)」という用語が出題されており、これは当然押さえておかなければならない過去問でした。
ですので、今回の問題は、落としてはならない1問だったと思います。
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