【令和4年(前期)社会的養護 問7】
次のうち、乳児院に配置される職員として、不適切なものを一つ選びなさい。
1 保育士
2 少年を指導する職員
3 家庭支援専門相談員
4 里親支援専門相談員
5 看護師
【解答・解説】
「児童福祉法」において、乳児院に入所する者は、「乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む。)」と規定されているので(同法37条)、0歳から小学校就学の始期に達するまでの者ということになります(同法4条1項1号・2号)。
そして、「少年」とは、小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者とされているので(同条同項3号)、「少年」は乳児院には入所していないことになり、「少年を指導する職員」は乳児院に配置される職員としては不要であり、不適切だということになります。
(「少年を指導する職員」は、母子生活支援施設に置かなければならないと規定されています(同基準27条1項)。
したがって、正解は2となります。
なお、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」において、乳児院には、「家庭支援専門相談員」、「看護師」を置かなければならないと規定されています(同基準21条1項、22条1項)。
乳児院の「看護師」の一部は、「保育士」をもってこれに代えることができると規定されています(同基準21条6項、22条2項)。
また、乳幼児10~20人を入所させる乳児院には、保育士を1人以上置かなければならないと規定されています(同基準21条7項)。
「里親支援専門相談員」は、厚生労働省通知「家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、心理療法担当職員、個別対応職員、職業指導員及び医療的ケアを担当する職員の配置について」において、里親支援を行う乳児院(および児童養護施設)に配置するものとされています。
【検討】
シンプルかつ、少し不思議な感じの問題でした。
「少年を指導する職員」は母子生活支援施設に配置すべき職員として特徴的な職員であり、2が不適切であることにはすぐに気づくべきで、正答率は高かったものと思われます。
ただ、児童福祉施設等に配置される職員は、法令上、配置義務があるかどうかの観点から規定されるのが通常です。
4の「里親支援専門相談員」以外の職員は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」という法令(厚生労働省令)に規定されている職員であるのに対し、4の「里親支援専門相談員」は、「法令」ではない(法的拘束力のない)厚生労働省通知に記載されている職員であり、なおかつ「里親支援を行う」場合に配置することとされており、制度上は、条件付きで配置される職員となっています。
1の「保育士」は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に規定されていますが、「保育士」の配置義務がある乳児院は「乳幼児10~20人を入所させる乳児院」だけです。
それ以外の乳児院では、「看護師」の一部の代わりに「保育士(または児童指導員)」を置くことができると規定されているにすぎず、「看護師」の数が足りていれば(または「児童指導員」で代替されていれば)、「保育士」は置かなくてもよい、ということになります。
乳児院に配置してもいいし、配置しなくてもいい職員は、乳児院に「配置される」職員として「適切」なのかどうか、疑問が生じないわけではありません。
乳児院に「少年を指導する職員」を配置してはならない、とする条文はないものの、通常、乳児院では少年を指導することはできないので、「少年を指導する職員」の不適切さの度合いは非常に高く、正答が2であることに異論はありません。
ただ、「配置される」という言葉で、
(1) 法的な配置義務がある職員(家庭支援専門相談員、看護師)
(2) 法的な配置義務がある職員の代わりに置くことができる職員(保育士)
(3) 厚生労働省通知で配置するとされている職員(里親支援専門相談員)
という3パターンの職員をまとめるのには、少し無理があるような気がします。
今後勉強していくにあたっては、少なくとも、単純に「配置される」(職員の名称が書いてある)かどうかだけではなく、「法令」(「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」)でどのように規定されているか、条件付きの配置義務となっている場合はどのような条件となっているか、という点も大事にして押さえていっていただきたいと思います。
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