平成31年3月29日の記事の【復刻版】となります。
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かなり前の過去問となりますが、内容的には古いものではありません。
問題文の読み方について注意すべき点が含まれる問題でしたので、
筆記試験の本番が近づいているこの時期に、あえてこの問題を取り上げてみます。
【平成26年(本来(8月)日程)教育原理 問8】
次の文は、絶対評価に関する記述である。絶対評価の特徴として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 絶対評価は、学習成果の評価にあたって、教育の目標に対してどこまで達成しているかを明らかにする評価である。
B 絶対評価は、評価者の主観が入る余地がないため、公平であることが求められる入学試験などではこの評価基準が採用される。
C 絶対評価は、集団内における個人の位置を明示するものであり、集団全体の達成状況との比較において個人の達成状況を明らかにすることができる。
D 絶対評価は、集団に準拠した評価ともいわれ、集団の質によって結果が左右されるため、客観性や信頼性に乏しいという指摘もある。
E 個に応じた指導の充実を図るため、小・中学校では、絶対評価を取り入れ児童生徒各個人の目標達成度をきめ細かに評価する試みが進められている。
(組み合わせ)
A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × × ○
3 ○ × × × ○
4 × ○ ○ ○ ×
5 × × ○ ○ ×
【解答・解説】
A 適切
そのとおりです。
B 不適切
人が評価する以上、「主観が入る余地がない」ということはあり得ません。
評価される者の間での公平性が求められるとともに、合格者数の制限がある入学試験などでは、どちらかと言えば、相対評価が採用されることが多いと考えられます。
C 不適切
「集団内における個人の位置を明示するものであり、集団全体の達成状況との比較において個人の達成状況を明らかにすることができる。」という説明は、相対評価についてのものです。
D 不適切
「集団に準拠した評価ともいわれ、集団の質によって結果が左右されるため、客観性や信頼性に乏しいという指摘もある。」という説明は、相対評価についてのものです。
E 適切
そのとおりです(「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(通知)など)。
以上より、正解は3となります。
【検討】
「絶対評価」「相対評価」という言葉は、日常一般でも使用される語句であり、「目的準拠」「集団準拠」という言葉も理解は困難ではないと思われるので、素直に丁寧に読めば、正解を導ける問題だったと思われます。
しかし、Bの記述を深読みしてしまって、「適切」と判断して不正解となったというお話も伺いました。
このブログを読まれている方にとって、試験といわれて真っ先に思い浮かぶのは「保育士試験」だと思います。
そこで、「保育士試験の筆記試験は6割で合格なので絶対評価であるし、もちろん公平である。」と考え、その命題を試験一般に広げてしまって、「入学試験では公平性が求められるので絶対評価が採用される」と曲解してしまった、とのことでした。
ここで注意しなくてはいけないのは、絶対評価であれば公平なのか、という点です。
少なくとも、面接で人物を見るような試験であれば、たとえ点数をつけて一定の点数を合格点としたとしても、それがマークシートのペーパーテストより公平だと言うことはできないでしょう。
もっとも、問題作成者としても、公平かどうかという部分で迷わなくていいように、「主観が入る余地がない」という全否定ワードを入れたのだと考えられます。この全否定ワードに目をつぶってしまうと、正解にたどり着くのが難しくなるのです。
そのようなわけなので、繰り返しになりますが、「問題文を素直に丁寧に読む」ということが大切になってくるのです。
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