『闇に這う者 ラヴクラフト傑作集』 | 梟の転寝

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 「梟の転寝(ふくろうのうたたね)」は、読んだり書いたりの日々を送る私の、日記みたいな、備忘録みたいな、そんな代物です。ちょこちょこっと、あれこれ書いてみますね。

 嗚呼、盆と年末年始以外は仕事浸けだった日々よ、しばしサヨウナラ。どうにか多忙な時期を生き延びて、春休み気分を満喫している私です。いや、例年に増して大変だったのですよ。今年はもう少し、のんびりできるといいのですが。

 3月もいろいろありました。まとまった休みを利用して長距離サイクリングに出かけて、危うく遭難しそうになった事も、今となっては良い思い出です。

 まぁ、その辺りの話はまた日を改めて、という事で、本日の話題は、例によって、そう、アレです。

 先日、田辺剛の『闇に這う者 ラヴクラフト傑作集』が発売されました。

闇に這う者 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)/田辺 剛

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 H・P・ラヴクラフトのクトゥルフ神話を漫画化し続けている田辺剛ですが、今回は『ダゴン』と『闇をさまようもの』が選ばれました。奇しくも、ラヴクラフトの最初期の作品と最後の作品の組み合わせです。共に『ラヴクラフト全集3』に収録されていますね。

ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))/H・P・ラヴクラフト

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 私は以前、1920年代のボストンを舞台にした『クトゥルフ神話TRPG』の連作セッションを何年かやっていました。ラヴクラフトの『ダゴン』が『ウィアード・テイルズ』に掲載されたのは1923年ですが、それよりやや早い時期のクトゥルフ神話ですね。

 その時、私が最終話のネタとして温存していたのが『闇をさまようもの』でした。『闇をさまようもの』は1934年から1935年にかけてプロヴィデンスで起きた事件を描いていますから、私は数年がかりで『闇をさまようもの』の前日譚を準備していた事になります。

 そんな訳で、私にとって『闇をさまようもの』は特別なクトゥルフ神話なのでして、田辺剛の手で丹念に描かれたロバート・ブレイクの破滅に刺激されて、ついつい、『闇をさまようもの』関連の作品をまとめて再読してしまった次第なのですよ。

 ロバート・ブロックの手による続編『尖塔の影』。そして『アーカム計画』。更に、クトゥルー・ミュトス・ファイルズのアンソロジー『闇のトラペゾヘドロン』。

闇のトラペゾヘドロン (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)/倉阪鬼一郎

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 『闇のトラペゾヘドロン』は、『闇をさまようもの』をテーマにしたアンソロジー。友野詳の『闇に彷徨い続けるもの』は、『アーカム計画』とはまた違う、もうひとつの終末を描く意欲作で、「ええい、これでもか」と盛り込まれた様々な作品へのリスペクトと遊び心に圧倒されます。ウィルマース財団とデルタ・グリーンの共闘については、「お腹を壊しそうな組み合わせだなぁ」と思っちゃいますが。

 倉阪鬼一郎と積木鏡介の作品も、『闇に彷徨い続けるもの』を読了後、また違う角度から楽しめる訳で、この相乗効果はアンソロジーの醍醐味。クトゥルフ神話とは、かくあるべし、ですよ。

 おおっと。この話題はまだ語り足りませんが、日付が変わる前に更新しときたいので、とりあえず。