
ママ獣医師の鈴木綾香です

今、羽田に着きました~

今日は、前にアップして反響の多かったステロイドについてのお話です


ステロイドってよく動物病院で出されるけど、どんなお薬なんでしょう?
皆さんが目にする機会の多いのは、いくつかあるステロイドの中でも
合成副腎皮質ホルモン
というものです。
副腎てどこにあるかというと、腎臓の上にあるワンコでも1cmもしない大きさのちーっちゃな臓器です。
このちーっちゃな臓器からは、たくさんのホルモンが出ているのですが、どんな子でも多かれ少なかれ副腎皮質ホルモンというものが出ています。
このホルモンは、
炎症を抑える作用
免疫を抑える作用
血糖を上げる作用
など様々な作用を体に及ぼします。
そして、この作用を利用して、合成的に、つまり人工的に、お薬としてこのホルモンを作ったのが、ステロイドになります。
では、なぜこのステロイドが人でも動物でもよく使われるのか?
それは、魔法の薬と言われるくらい、すごく効くからです(効いてるように見えるといったほうがいいかな?)。
例えば、皮膚の痒みがひどいワンコがいたとします。
その子にステロイドをやると、不思議なくらい赤みや痒みがすーっとひきます。
それで、飼い主さんも、ステロイドが手放せなくなります。
飲ませるのをやめた途端、痒みがましたりしますから。
でも、こんな魔法みたいなお薬ですが、副作用は他のどの薬よりも多いと思います。
例えば、ステロイドを飲んだとき、体の中ではどんな反応が起きているかというと、長く飲んでいると、自分の体から副腎皮質ホルモンが出ていると体が勘違いしてしまうんです。
そのため、他の臓器もこの副腎に負けないくらい頑張ろうと、すごく働き始めます。
副腎が頑張ってパワーアップしてるから、俺たちも頑張ろうぜ!みたいな感じですね。
そうすると、元々正常だった肝臓や腎臓などの他の臓器はいつか限界がきちゃうんです。
本来の働き以上に頑張るわけですから。
それで、長期間ステロイドを飲み続けた場合によく起こる、肝機能や腎機能が上がってしまうという結果に陥ってしまうんです

あとは、皮膚も頑張ってしまうので、毛がパサパサになったり…
胃腸が荒れて、吐いたり下痢したり…
ヘルニアの子で漫然と飲まされてる子なんて、筋肉がどんどん薄くなります

そして、よくあることで怖いのが飼い主さんが、勝手に薬をやめたり、はじめたり、用量を勝手に調節することです。
上であげたように、ステロイドは本来、副腎から出ているホルモンです。
これが、いきなり切られると体が大パニックを起こしてしまうのです

ひどいと死ぬこともある病気になります。
ちょっとこれは、うちの学生でも分かるように分かりやすく話しているので、専門家の先生からすると、ちゃんとした説明にはなってないかもしれませんが…

要は、ステロイドを使うと、体が本来頑張って痒みやら炎症やらと闘わなきゃいけないところを、お薬をやることで、見かけ上体が頑張ってるようにしてるということなんです。
たくさん怖いことを書きましたが、私が言いたいのは、ステロイドを使っちゃいけないというわけではないんです。
ステロイドをペットに使うときには、飼い主さんが、しっかりと知識を持つことが必要だということが言いたいのです。
動物は言葉が話せません。
ペットの治療をよくするのも悪くするのも飼い主さんの選択次第、知識次第だと思います。
私が使っている漢方薬は、本来の体のバランスを自分で治させるお薬です。
なので、かなりバランスが崩れているときは立て直しに時間はかかりますが、いずれ自分で治す、闘う力がついてきます。
お薬で抑え込むのか、自分で闘わせるのか。
病気の程度にもよりますが、きちんと判断し、お薬をチョイスすることが大事ですね。
話変わって、明日からリハビリ資格取得のためのセミナーです

リハビリも知ってるか知ってないかで大きな差ですね

皆さんにいい情報を提供できるよう、頑張ってきます

