その保険、受取人は誰ですか?  その1 | 福岡の資産税専門税理士・行政書士のブログ        ■相続のアドバイスと不動産賃貸経営のパートナー■

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【相続・不動産コンサルサポート福岡】
  山本扶美子税理士事務所
  山本扶美子行政書士事務所

前回に引き続き保険のお話です。

相続の後には様々な手続きが必要となって来ますが、保険金の請求手続きもそのひとつ。

最近は、できるだけ早くスムーズに保険金の支払いをする事もサービスの一環として、生命保険金各社も頑張っています。

当事務所は税理士業務だけでなく、行政書士業務も行っているため、相続税の申告義務が無いお客様にも、遺産分割業務を中心としたサポートで対応していますが、

こういった場合のメイン業務は「遺産分割協議書の作成」と「相続財産の名義変更のサポート」で

特に「遺産分割協議書の作成」は税理士資格では行えない業務です。

が  保険については要注意です。 

何しろ保険税務というのはケッコー複雑で

例えば 「 被保険者・契約者 = 被相続人 」 で 「死亡保険金受取人 =相続人Aさん」 という契約の場合

保険会社はAさんの預金口座へ保険金を支払ってきますが、
もう一人の相続人Bさんが

Bさん 「ほかに大した財産もないし、Aさんだけ保険金をもらうなんて納得できないよ!」

なんて言い出したものだから、

Aさん 「わかったよ。じゃ~、保険金の半分1,000万円をBさんに渡すよ。」

と、話がついても

ちょっと待って下さい

これ、そのままでは贈与になってしまいますよ

なぜなら、死亡保険金というのは、民法上、遺産分割の対象となる相続財産には含まれず、あくまで被相続人と生命保険会社の契約に基づき支払われるもので、契約により受取人が確定しているので、相続人の共有財産とはなり得ないため、税法上はあくまでAさんが取得した保険金をBさんへ贈与したと、解釈されるためです。

ちなみに、1,000万円の贈与があった場合の贈与税は231万円

相続税はかからないと安心していたのに、Bさんには贈与税がこんなにかかってしまう結果に


は、どの様に対処すべきだったのか。

まずは、相続に死亡保険金の受取人をAさんとBさんにそれぞれ50%ずつと変更しておけば良かった訳です。

では、この受取人の変更ができなかったときは・・・

「代償分割」という方法があります。

この場合ですと、A,Bの2人で遺産分割協議をし、

「Aは相続財産である○○を取得した代償として、Bに対し○○までに金1,000万円を支払う。」

との趣旨を遺産分割協議書に明記しておく必要があります。

つまり、「代償分割」の場合は必ず「遺産分割協議書」を作成して、相続人全員の署名と実印の押印、それと印鑑証明書の添付をしなくてはなりません。

ちなみに、死亡保険金は相続財産ではないため、遺産分割協議書に載せる必要はありません。

でも、相続税を計算する場合には、みなし相続財産として相続税の対象となる財産に含めて税額を計算して行く事になります。

このように、相続においては「法務」と「税務」が絡んで、複雑なケースも少なくありません。

お気を付け下さいね。

山本扶美子税理士行政書士事務所  公式HP
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