【1日3試合の日に】
今年2024年の第106回全国高校野球選手権大会は、8月7日から17日間、阪神甲子園球場で行われる。
最近では、年を重ねるごとに真夏の酷暑での試合のため、足に痙攣を起こし退場したり、選手や応援団の生徒などが熱中症で倒れ担架で運ばれたりするケースが続出するようになった。夏の猛暑は年々激しさを増すばかりだ。
2022年7月に、甲子園での暑さ対策として「二部制」を含む様々な観点で検討すると発表したが、「二部制」についていよいよ今年から試験的に動き出す模様だ。
具体的には、初日を含め1日3試合を行う日に「午前中1試合」「夕方から2試合」を行うことを検討しているようだ。例えば午前8時頃から1試合、夕方午後4時頃からナイターも使いながら2試合を行うような方式。
選手権では1日4試合を行うのが原則となっていて、4試合の場合はこの方式は難しいが、まず3試合の日に試験的に行ってみて、データを集めようというのだろう。
1日中試合を見ようとする観客には、入れ替え制とするにしてもどう対処するのか難しい問題もあるが、アスリート・ファーストの観点からすれば、1歩も2歩も前進だ。
【ドーム球場の併用も検討すべき】
大学野球日本選手権では、東京ドームと神宮球場を併用して開催してきた。高校野球の選手権でも、思い切ってドーム球場を併用して開催してはどうか。
前半は京セラドームで試合を行い、準々決勝から甲子園で行うとか、お盆過ぎから京セラドームと甲子園を併用して開催し、準決勝・決勝は甲子園でするのもありだろう。或いは、いっそ8月下旬から9月上旬位まで甲子園で開催することもよいだろう。
これまで暑さ対策として、延長10回からのタイ・ブレーク導入、休養日の増加、クーリングタイムの実施、白いスパイクの使用許可などが行われてきた。コールド・ゲーム制の導入もそろそろ考えてよいと思う。しかし、これは効果が限られる手段で抜本的解決にはならない。
そういう意味では、今夏に「二部制」の試験実施が実現すれば、今後大胆な改革を考える上でも一石となろう。
【地方大会対策も必要】
沢山の選手や応援団が参加する地方大会での猛暑対策のほうが早急に必要だろう。
開催時期を、沖縄や北海道のように6月20日頃から始めてしまうのも一考だ。ドーム球場が利用できる都道府県は、冷暖房完備のドームの試合を積極的に利用すべきだ。そして選手権が8月下旬位に開催が始まれば、かなりの熱中症対策にもなりそうだ。
ちなみに環境省の「熱中症予防情報サイト」の「日常生活に関する指針」では、気温が35度以上ならば「運動は原則禁止」としている。球場のグラウンドレベルでは40度以上が通例となっているが、さて。