「共同親権」って大丈夫?ー民法改正法案が衆院通過へ | 笑う門には福来るのブログ

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【4/12の衆院法務委員会で可決】

 ここ数年来、一部で議論されてきた「共同親権制度」の創設。法制審議会では、異例にも全会一致できずに決定。先月政府から民法改正案が国会に提出され、先週4月12日(金)に、与野党4党の合意で衆議院法務委員会で可決。今週中にも本会議で可決される見通しという。

 

 まだ庶民の中にこの問題の認識が全く深まっていない。一般的には、離婚する際これまで一方の親権が強制されていたものが、両親の「共同親権」も選択できるのなら結構なこと、程度か。

 

 法務省のパブリック・コメント募集には、約8千の意見が寄せられ、個人では反対が賛成の2倍もあったという。「子の利益」はどうなのかの議論だが、現状ではやっと離婚できて子を養育している女性からとりわけ大きな反対意見が出ているようだ。

 

 未成年の子がいる夫婦の離婚件数は年間約10万件、親の離婚を経験した子は20万人に上るという。

 

【共同親権って?】

 戦前の民法は、夫婦の離婚後の子の親権者について、原則として父親と定めていた。1947年の民法改正で、離婚した後の親権者は父母のどちらかに定めるとされた。今回改正されれば72年振りの改正となる。

 

 今回の共同親権制度は、現行の父母どちらかの他に夫婦で共同して親権を行うことも選択できるとした。夫婦で協議が纏まらなければ、どちらかの単独親権か共同親権か家庭裁判所が決定する。ただし一方の親による虐待や家庭内暴力(DV)のおそれがあるなど「子の利益」を害する場合には単独親権とする。

 

 共同親権のもとでは、子どものことは原則父母が話し合って決めるが、決められなければ家裁が決める。「日常的なこと」や「急迫の事態」の場合は一方の親だけで判断できるとする。その例外がどういう場合かはなかなか難しいところだ。

 

 「日常的なこと」の例として法務省は、日常の身の回りの世話、習い事の選択、重大な影響のない治療や薬の服用、ワクチン接種、高校生のアルバイトなどを上げる。一方進学先や特別支援学校・学級のどちらに通うか、などは父母が共同して行うとする。

 

 「急迫の事態」では法務省は、入学試験の合格発表から一定の期限までに手続きをする必要がある、緊急の手術の必要、などを例に上げている。

 

 法施行前に離婚が成立していても、裁判所に親権変更の申し立てをして認められれば共同親権に変更も可能になる。

 

【なぜ今民法改正が必要に?】

 国会の趣旨説明で小泉法相は「父母が離婚後も適切な形で子どもの養育に関わり、責任を果たすことが重要だとの理念に基づくもの。子どもの利益の観点から最善の判断をすべきだ」と語る。

 

 多くの自民党議員からは「性別に関係なく父母で子育てをすべき」「離婚で親権を失い、子と疎遠になった親らが子の養育への関与を望む声が多い」という点から改正を積極的に進めようとする。子と別居する親の権利を強める制度を作ろうとする。

 

 一方の親が単独親権を望んでも、家裁で共同親権が決められることも出てくる。事実上の強制となり、離婚しての困難さが倍増する事態も。更に、やっと離婚の合意が取れても「共同親権」を条件とされることも沢山起こりそうだ。

 

 共同親権となれば、「職場の近くに引っ越したい」「高校は近くの公立に行かせたい」「慢性的な病気で子に手術を受けさせたい」などと思っても、同居していない親の承認が必要となってしまう。離婚してもう口もききたくない父母も多いだろうに。「実質的な離婚禁止制度だ」との声も上がる。

 

 参議院での審議で、どこまで法案修正が可能なのか。シングルマザー達の悲しそうな顔が目に浮かんでくる。