今では回らない「回転ずし」の話 | 笑う門には福来るのブログ

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【創世期の回転ずし】

 日本で誕生した回転ずしの発祥は1958年東大阪で開店した「廻る元禄寿司1号店」だそうだ。回転ずしが誕生してからまもなく古希を迎えようとしている。

 

 私が初めてこれを目にしたのは、1977(昭和52)年頃、浦安で開店した「流れる寿司」だった気がする。水が流れるレーンに小さな船?樽?に乗って寿司が回ってくる方式で、結婚当初によく通ったものだ。いつの間にか消えて行った。その後「銚子丸」の第一号店もこの地に開店する。

 

 一般的な寿司店の客単価は5000円位だった当時、一皿百円で流れてくる廉価さは市民の魅力だった。これまでの対面する職人さんに注文して食べる方式ではなく、流れてくる寿司を客が見ていて食べたい寿司皿を無言で取って食べ、無言で会計伝票をもらい支払って店を出られる。ストレス・フリーの食文化がそこにはあった。

 

 廉価さ、手軽さ、客の回転の速さ、「時価」などない会計の明瞭さが大衆客の人気を博してきた。誰にも手にされない「回り続ける寿司皿」は、廃棄されフード・ロスに。

 

【寿司ロボット登場】 

 カウンターの客の前に職人が寿司を握りベルトコンベアーに流れる対面式と、厨房で寿司が握られ、客の前にコンベアーで回ってくる非対面式の回転寿司がある。

 

 大手チェーン店も続々誕生し店舗が全国展開され、海外にも大きく進出する。最初は一皿百円にこだわりがあったが、そのうちに徐々に値上げされ、皿の色により値段が違うようになる。

 

 1990年代から、職人が握るものから、ロボットがシャリを握りアルバイトでもシャリにネタを乗せてレーンを回すようになり、安さを何とか維持しようとする。

 

【回らなくなった回転寿司】

 最近ではタッチパネル方式が一気に進み、注文されたものを客に届ける方式が一般的となる。今では8割以上の寿司が「回転しない」状態で営業されているようだ。

 

 回転式コンベアをやめて、スシローなどのようにタッチパネル方式で厨房と客を直通の高速レーンで結ぶ方式が広がる。回転レーンには注文品しか流れていない。最近の社会問題化した客の迷惑行為がこの流れを加速させる。

 

 現在の回転寿司チェーンの売り上げ順位は次の通り。

①スシロー 3017億円、国内641店・海外132店 ②くら寿司 2114億円、国内544店、海外107店 ③はま寿司 1634億円、国内588店、海外49店 ④かっぱ寿司 704億円、国内292店 ⑤元気寿司(魚べい) 546億円、国内184店、海外234店

 

 この中では、今でも注文品以外も回し続けているのは「くら寿司」だけのようだ。

 

「『すし銚子丸』は回転寿司じゃなくなります」と昨春宣言したのは「すし銚子丸」。昨秋に開店した練馬区内の新店舗には回転レーンが無く「声かけが新たな付加価値になる。人間味のある接客、気づかいを大切にする」という。

 

 回転寿司が回転しない寿司に大変身。この1・2年で回転寿司は更にどこに向かうのか。

 

 ごく最近知ったこと。寿司のネタは、本来の名は「寿司種」。「タネ」を職人が使う符丁として逆にして「ネタ」と言うようになったのだとか。「アガリ」「オアイソ」と同じ世界。