David Bowieの1972年の歴史的名作。グラムロックの代名詞とも言うべきアルバムで、ボウイの人気とサウンドの方向性を決定付けたアルバム。もともとボブ・ディランに強く影響を受けたフォークロックを歌っていたが、試行錯誤を繰り返しこのアルバムでボウイのスタイルは形成されたといってよいだろう。そしてこのボウイのサウンドやマーク・ボランの活躍によってグラムロックというスタイルのロックが浸透し、この時代の新しいロックとして人気を集めることになる。大げさな化粧をし演劇的なステージをみせるこのスタイルはデビッドボウイのために存在したとも言えるほど、この時期の彼のイメージと重なっている。過去にパントマイムをやっていたという経歴もこのパフォーマンスに大きく影響しているようだ。
このアルバムはコンセプトアルバムで、ボウイ自らZiggy Stardustというロックスターを演じてSpiders From Marsというバンドを率いてひとつのストーリーを演じている。"Five Years"という地球にはあと5年間しか残されていないという切羽つまった刹那的な状況を歌った曲からはじまり、全体としては宇宙人のロックスターが地球の滅亡を救う、という非常にわかりやすいストーリーで、このストーリーをステージで披露する彼のパフォーマンスは非常に完成された見事なものであった。本作からはトータルアルバムでありながら"Starman"他数曲のシングルヒットも生まれており、どれもロックスタンダードとなっている。アルバムのテーマは一聴すると単純で楽観的な内容に思えるが、実はロックを必要としロックがないと生きていけないということは不幸なことであるというボウイらしいシニカルな内容でもある。
この後、ボウイはブライアンイーノと組んだ"Heros"、ナイルロジャーズと組んだ"Let's Dance"など自らのサウンドをカメレオンのように自由自在に変化させていくことになるが、どんなスタイルのサウンドを作っても根底にあるのはこのグラムロック時代のロックであり、どれもボウイならではのオリジナリティのある素晴らしい音楽を聴かせてくれている。もはやボウイはアルバムやライブといった単位で表現するのではなく、存在自体が彼の作品であるかのようにさえ感じさせる魅力がある。彼のそういった柔軟でありながら筋の通った姿勢は多くのフォロワーに影響と衝撃を与えた。固定された音楽スタイルを持たない彼の自己表現の一貫性は数多くのロックアーティストの中でも稀有の存在といえる。そしてサウンドを変えるたびにメディアやジャーナリズトのあいだでは賛否両論が激しく交わされ、良くも悪くも話題性には事欠かないアーティストとしてその人気は今も健在である。








