Eric Dolphyの2作目のリーダー作で録音は1960年。構成はEric Dolphy(Alt Sax,Flute,Bass cl,B♭cl)、Ron Carter(cello)、George Duvivier(b)、Roy Haynes(ds)というピアノレスのカルテット。
メンバーについてはよく知られた人が多いのだが、面白いのがRon Carterのチェロ。ベーシストとしては今さら説明するまでもない人だが、実はもともとチェロ奏者で音楽院ではチェロを勉強していたらしい。Upテンポの曲などはあからさまにモタっている箇所も多く、決して上手な演奏とは言えないが下手な分、今やベースでは聴けないフレーズも飛び出し面白いかもしれない。
このチェロ入りのカルテットという一風変わった構成は、実はドルフィーが所属していたチコハミルトンのグループとも共通している。チコハミルトンの場合は、これにギターも加わりサウンド的にもカラフルなのだが、ドルフィーのこのカルテットの雰囲気はかなりダークでシュールな趣がある。
もとはハードバップを基調にした演奏だが、この編成と曲のアバンギャルドさ、ドルフィーのエキセントリックで自由奔放なフレーズにより独特なグロテスクさがある音楽になっている。一般的な甘く、ムーディなジャズの雰囲気はカケラも感じさせない奇妙な音楽ではあるが、聴いていくうちにドルフィーの世界に引きづり込まれてしまうのである。
そして奇妙な音楽ではあるが、曲のバリエーション・メンバーのソロの充実度などアルバムとしてもまとまっており、散漫な印象は受けない。
ドルフィーはこのアルバムの4年後の1964年にドイツで心臓発作で客死。ソロとしての活動はわずか5年に満たなかったが、ハードバップとフリージャズの橋渡し的な存在でどちらかというと死後のほうが高い評価を受けている。俗に言うジャズの巨人とは言いがたい存在ではあるが、1960年代前半というジャズ史の中でもハードバップからモードやフリーといった新しいタイプのジャズが生まれてくる重要な時期に、彼の音楽がシーンに与えた影響は大きい。
このアルバムのジャケットはこの時代のPrestigeのLPにしては珍しく写真ではなく絵が使われている。ダリのようなシュールレアリズム風で下手な絵ではあるが、彼の奇抜でシュールでどこかトボけた音楽性にはよく合っている。