昨日13日発売の安室奈美恵の新譜。前作の“Style”から約1年半ぶりのリリースである。
スペシャルプロジェクトSuite Chicに参加し、確実にHipHopアーティストとしての評価が高まっている彼女がこのアルバムで自ら“Queen”を名乗ってしまった。(HipHopではなく、HipPopではあるが)
内容のほうも復帰以降強化してきたHipHop色の強いサウンドの集大成的なサウンドになっている。
シングル曲は“Want Me, Want Me”“Girl Talk”“All For You”“Alarm”の4曲が含まれているが、アルバムを通して聴くとシングルではない曲のほうがポップ性のある曲が多く、シングル曲はかなり尖がった個性の強い曲ばかりであることに気づく。
普通の邦楽アーティストならポップで大衆性の強い曲をシングルにし、前衛的で実験的な曲をアルバムに収録するのが、彼女は真逆なアプローチをとっているのである。
もちろんこれは人気も実力も備わった彼女だからこそ成しえたことなのだろう。
アルバムの中では特にピンクパンサーとのコラボ“WoWa”のPopさ、Cuteさは白眉の出来である。
今回のアルバムも前作同様海外のHipHopの精鋭プロデューサたちによって、かなりコアなサウンドが作られているが、彼女の良い意味でポップな歌声がポップミュージックとしてのギリギリの境で踏みとどまらせている。
彼女の1992年のデビュー以来、日本にもR&Bというジャンルが根付き、優秀なアーティストは大勢現れた。だがそんな中でも彼女は自らポップアイコンであることを見極め、あくまでパフォーマーとして私生活のトラブルにも負けずマイペースで地道な活動を続けてきた。
そんな彼女の常に新しいサウンドやコアなHipHopを追求する真摯な姿勢は、アーティスティックでありながらも、常に決してポップさを失わない。
彼女の復帰後の活動においては駄作と呼べるものはひとつもないが、本作はそんな彼女の実力が100%発揮されており、第2期安室奈美恵を代表するであろう快作となっている。
宇多田ヒカルが海外進出で成果が出せずにいる現状では、彼女こそが日本を代表するアーティストなのかもしれない。