「おしいれのぼうけん」
作:ふるたたるひ、たばたせいいち
さくらほいくえんには、
こわいものがふたつあります。
ひとつはおしいれで、
もうひとつは、ねずみばあさんです。
おしおきでおしいれに閉じ込められた、さとしとあきらが体験するおしいれの不思議な冒険、ねずみばあさんとの対決の物語です。
童心社のサイトで対象年齢は3歳〜となっているのですが、最初にこの絵本を手にとったとき、随分と文章量のボリュームがあるなと思いました。同じく童心社で3歳〜と記載のある絵本だと「14ひきのシリーズ」、全然ボリューム感が違う。
3歳には無理なんじゃない?と思って読んでみたのですが、次から次へワクワクドキドキの展開が繰り広げられるためか、子供はじっと聞き入ってくれました。臨場感があるというか、自分たちが冒険の世界に入り込んだようなワクワク感があります。長めのストーリーでも、子供は聞けるんだなと驚いた絵本でした。よく読みたがるようになったのは、もう少し年齢が上がってからでした(次男は現在進行形)
ぎょっとするのは、みずの先生が、謝らせるために子供たちをおしいれに閉じ込める場面。いまの時代、虐待だとクレームになること必須。でも、この展開は、さとしとあきらがおしいれに入るきっかけだけで話は終わりません。冒険を終えたさとしとあきらに、先生はごめんねと謝ります。脅して謝らせることが教育ではないこと、これは大人に向けたメッセージにもなっています。
おしいれに閉じ込めても謝らないさとしとあきらに、みずの先生はおしいれの外からねずみばあさんの声色で脅したのでしょう。その先生の声が、子供たちの空想の世界に影響を与え、さとしとあきらの冒険の世界のストーリーを作っていったのではないかと思いました。
絵本の挿絵もとても良くて、登場人物の表情が豊かです。また、白黒の絵に混ざった、白黒意外の色の使い方が印象的です。色のあるページは数ページですがとても魅力的。中でも、デゴイチとミニカーの描かれたシーン、とてもカッコいいです。そのシーンは、文章も詩的でカッコいいです。
我が家も、兄弟男の子2人ですが、おしいれによく入りたがります。そんな身近な存在のおしいれで繰り広げられる冒険物語。是非、子供たちに楽しんでもらいたいオススメの絵本です。
さくらほいくえんには、
とてもたのしいものがふたつあります。
ひとつはおしいれで、
もうひとつはねずみばあさんです。