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ゆっぴーさんから、いま、いただいた記事です
「なにこれ」
姫神 あの空の下に
⭐️気候変動
「気候変動のようにとくに複雑な物語を伝えるのに、もっとも効果的で力強いツールのひとつが写真だ」(ミッテルマイヤー氏)
食料を求めてさまようやせ細ったホッキョクグマ。17年に撮影されたこの写真は世界中で注目され、気候変動の対話のきっかけとなった/Courtesy of Cristina Mittermeier
そうした写真の力を、ミッテルマイヤー氏も自身の作品で目の当たりにした。17年8月に撮影した飢餓状態のホッキョクグマの写真はナショナルジオグラフィックに掲載され後、動画とともにインターネットで拡散し、世界中のニュース媒体やソーシャルメディアでシェアされた。世界中で気候変動に関する対話が生まれ、不安や同情、気候変動の否定にいたるまで様々な反響を呼んだ。だが世界に衝撃が走ったのは間違いない。「いまだに人々の記憶に残り、見るたびに強く心を揺さぶる」とミッテルマイヤー氏は分析する。
戦争写真家
19年12月オーストラリアのコンジョラ湖で、炎に包まれる家から跳び去るカンガルー。オーストラリア史上最悪の水準のこの年の山火事は、約30億匹の動物から命と住む場所を奪った/Matthew Abbott/The New York Times
ニックレン氏は気候変動の撮影を紛争地域での撮影に例える。「我々は地球を相手に繰り広げられている戦争の最前線に立っている。胸がえぐられ、精神的にも消耗する」
この数十年、気候災害の頻度や度合いが増す中で、写真は緊迫した状況をより明確にとらえるようになった。食料や水が枯渇したためにやせ細った6頭のキリンの死骸は、エド・ラム氏が撮影した。この作品はケニアで今も続く長期的な干ばつで、動物だけでなく人間も脅威にさらされ、住む場所を追われている惨状を物語っている。19年と20年にオーストラリアを荒廃させたような山火事の写真は、炎に包まれる家屋や逃げ惑う野生動物から被害の規模がうかがえる。
ミッテルマイヤー氏とニックレン氏は、人間と自然の衝突を描いた写真も選出した。気候変動の影響のひとつに生物多様性の激減がある。世界自然保護基金(WWF)の22年版「生きている地球レポート」によると、1970年と比べて野生生物の数は69%急減した。土地活用の変化で必要不可欠な生息地が分断されたことや気温上昇などが主な原因で、それにより大量死といった事態も起きているという。
とくに北極は他の地域よりも4倍の速度で温暖化が進み、ホッキョクグマの生活に欠かせない氷が融解している。22年に写真賞「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したドミトリ・コー氏の作品「House of Bears」は、コリュチン島のさびれた旧ソ連入植地を彷徨(ほうこう)するホッキョクグマが写っている。建物は空き家になって久しいが、ミッテルマイヤー氏の考えでは、深刻化するホッキョクグマの問題を示唆している。ホッキョクグマは狩り場にしていた氷がなくなったため、人間の住む地域に侵入し、地元住民と遭遇して、どちらにとっても悲劇的な結末となる。
「気候変動はどこかよその出来事ではなく、そこら中で起きていることが分かる。いきなり突然、自宅のすぐ目の前に迫ってくる」とミッテルマイヤー氏は言う。
ミッテルマイヤー氏は、友人であり、とくに影響を受けた人物として、ゲイリー・ブラーシュ氏を覚えている。ミッテルマイヤー氏はブラーシュ氏を「気候変動の年代記編者」と呼ぶ。16年に他界したブラーシュ氏は、晩年の20年間を地球温暖化による地球の変化を記録することに捧げた。南極では氷河が溶け、バングラデシュのボラ島では海面の上昇と浸食の進行で村々が小島へと変貌(へんぼう)した。ブラーシュ氏の大義へのこだわりは、ニックレン氏やミッテルマイヤー氏といった次世代の環境写真家に道を切り開いた。
ゆっくりとした後退
だが時に、気候変動の記録はカメの歩みのようにゆっくりな場合もある。海面上昇は毎年数ミリメートルで進行する。かつてないほど加速しているとはいえ、見た目には微々たるものだ。だがこうした変化は少しずつ積み重なる。数年あるいは数十年かけて目に見える形で記録していけば、その影響もはっきり見えてくる。
「ゆっくり動く津波を撮影するようなもの」とミッテルマイヤー氏は言う。「往々にしてその瞬間は分かりにくいが、二つの画像を並べてみると、気候危機の影響が手に取るように分かる」
写真家ジェームズ・バログ氏の作品も、気候変動を目に見える形で伝えている点で重要な存在だとミッテルマイヤー氏は言う。低速度撮影のカメラ網で世界各地の氷河を記録した「Extreme Ice Survey」は、時間の経過とともに氷河が消滅していく様子をとらえている。それぞれの氷河の写真を丸1年、日の出ている時間に毎日撮りためた膨大なアーカイブは、将来の変化を予測する基盤にもなる。
「まさに動かぬ証拠となった写真だ。気候写真としても、非常に重要な出来事だった」(ミッテルマイヤー氏)
この先、動物も人間も気候変動の影響を受けるだろうし、すでに受けている。「我々もみな一緒だ。それは否定できない」とミッテルマイヤー氏は言う。「我々はみな悲惨な状況に置かれている。人間を地球で共に暮らす他の生物と区別することはできない」
環境破壊の被害に遭った人間や動物を写した写真家ニック・ブラント氏のシリーズ作品「The Day May Break」は、まさにこれを物語っている。世界各地の動物保護区で撮影された写真は、干ばつや洪水といった気候災害で家を追われた人々と、生息地の破壊や密猟の被害を受けた動物たちがテーマだ。同じフレームに収めることで、人間と動物が運命共同体であることを表している。