わたしがいま住んでる地域は韓国内陸部で基本的に貧しくて、名物なんてないんですが、韓国全土は広いので、豊かな原材料がある地域もあるようで。
このまえ、韓国人同僚たちが「おっ、新しい店!」を見つけてとりあえずチャレンジ。
韓国人は本当に新しいものが大好き。そしてさびれて潰れるのも早い。今度の新しい店はいつまで潰れず耐えられるでしょうかね。
そこで出てきたこれ。
発音通りにカタカナで表記するのは難しい。
チョンボッサマップ/チョンボクサムハップ
漢字だと「鮑三合」などと書くことになる。意訳すると「アワビなど三種盛り合わせ焼き」ぐらいですか。
海が近い南の地域の宴席料理だそうで、レシピは「アワビ+牛肉+他の貝」ということになっているようです。牛肉ともう1種類の貝については、部位や種類は店ごとで適当にしているそうな。
やろうと思えばアワビはもちろん、牛肉と他の貝のグレードも上げまくって、シャトーブリアンや特大ホタテを持ってきたりすれば、士郎が勘違いして雄山にまた負ける感じの究極のメニューを作ることもできる。実際、港町でそんな感じの組み合わせにする例もあって、とんでもない値段がするとのこと。
われわれが行った店では、「小さめアワビ+牛バラ薄切り+タイラギ」の三種を焼いて、同じように隣で焼いたキムチと合わせて食べる、というものに収まっていました。
詳しい食い方は、「とにかく全部一切れずつ葉っぱに包んで巻いて、ニンニクも入れてあれも入れてこれも入れてこれを塗って食え」でした。
どんな味になるか、想像できますか。
アワビ1切れ、牛バラ1枚、タイラギ1切れ、それに焼けたキムチを足し、にんにく1欠け、青唐辛子5mm、それを葉っぱでくるんで食う。
だいたいねえ、キムチの味になりますね。塗りつぶし。
決してまずいなんてことはないですよ。あとから牛肉の味がして、歯ごたえがして、ああ貝がいるなあ、という不思議な感じに陥ります。
こういうのをマリア―ジュと言うのでしょうか、3人がそれぞれそこにおとなしく座っていたところに、上から真っ赤な雨が降ってきて、無理やり3人が肩を一時的に寄せ合う。そこを豪雨が洗い流す。みたいな。キムチで包んで酒で流し込めばみんな友達。
むしろ、うまいです。その場にいた日本人はうまい、面白い、といってあっという間に平らげました。わたしみたいな舌が幼い酒飲みにとっては、いいつまみになります。
しかし、何だこれ、もったいないと言う人もいるでしょうね。
日本人には思いつきにくい組み合わせ。
韓国南部で豪遊したいときは、頼んでみてもいいのかもしれません。店によっては数万円以上するはず