ノット指揮のマーラー交響曲第6番 | 復刻版

復刻版

栄光より挫折、成功より失敗、勝利より敗北…。

東京交響楽団第710回定期演奏会、
ジョナサン・ノット指揮による、
マーラー交響曲第6番を聴いた。

6番のライヴは度々聴いているが、
東響ではヘリベルト・バイゼルや、
秋山和慶指揮で聴いた記憶がある。


なお、コロナ禍以降は初。

最後に何時聴いたか調べてみたら、
ベルリンフィルハーモニーホール
で書いた、ミューザ川崎の、
学生合同オケによる演奏会だった。


高関健指揮による、
音大生の合同オーケストラで、
2017年3月25日の出来事だ。
もう6年も経ったことを知り、
時間の経過に驚かされる
…。

 

さて、昨夜の演奏会だが、

最近の東響の定期演奏会では
異例のほぼ満席状態だった。
人気の曲である故なのか?

交響曲の前にリゲティの、

ピアノ小品が置かれて、

間髪入れずに交響曲が演奏された。

が、このリゲティ作品は、
無くても良かった気がする。

 

交響曲の演奏について記すと、
第1楽章は余りにも遅過ぎ…。
ホーレンシュタイン指揮
ストックホルム・フィルを
彷彿とさせる遅さだが、
私的には、ちょっと辛い…。

忍耐力テストを受けているようで、
遅さゆえか練習不足か、
アインザッツが乱れまくりで
ちょっと辟易してしまった。

さて、第2、第3楽章について、
最近の演奏はバルビローリみたいに、
入れ替えたものが多いが、
私は従来通り、2楽章スケルツォ
の方が良いと感じている。
当夜は従来通りで演奏された。

第2楽章はフレージングが個性的で
木管のソロの部分は、
遊び過ぎと感じる位、
奔放に演奏をしていた。
欧米の煩い評論家なら、
酷評しそうな解釈である。

比べて第3楽章は真っ当…。
ただし、結尾のクライマックスは、

バーンスタインのような、
唸るような遅いテンポが好きだが、
逆に速度を早めたことで、
少々興醒めしてしまった。


次の終楽章は冒頭から
ハンマーストロークがあり、
非常にびっくり!!
そして、ストロークは、
合せて計5箇所に及ぶ…。

2回目、3回目は従来の箇所、
4回目は新たな箇所で、
5回目はバーンスタインの
3回目と同じ個所だった。

「ハンマーは振り降ろされた!」
のコピーの意味が理解できて、
視覚的には極めて面白いが
ここまで改変して良いのか?
と疑問を禁じ得ない…。

ただし、解釈という点では、
ハンマーストロークを除けば、
終楽章は真っ当な演奏で、
オケの統率感も一番あった。

さて、演奏全般の感想は、
上記の通りユニークさを伴い、
マニア以外にはお勧めを憚る、
駄演の部類かもしれない…。

でも、真っ当な演奏が多い昨今、
ある意味、スリリングだったし、
聴く分には斬新かつ革新的で、
第2楽章以降は面白かった…。