鈴木晴香さんの第二歌集『心がめあて』を読んだ。
言わずと知れた人気歌人のおひとり。
歌の中で取り上げている
モチーフが綺麗なのと、
時間の感覚が空間の感覚と交叉する
新鮮な視点がある。
読後に浮遊感があって、なんだか
日常の細部を大切にしていきたいような
優しい気持ちになる。
飛行機が羽ばたかないで飛ぶことを不思議に思わないなんて不思議/鈴木晴香
告白をされなくてもわかってしまうマカロンの奇妙な柔らかさ
君をまだ愛し足りない手に入れただけで本棚は美しい
どの瓶の中身も過去であることのあるいはわたくしを満たす水
またここにふたりで来ようと言うときのここというのは、時間のこと
以上『心がめあて』/鈴木晴香(左右社 9784865280388)より