弟子の訃報 | しょうかんのうだうだ

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仏絵師藤野正観(66)の備忘録・・・っといっても、ほとんどどこにも出かけないので、ふだん、ぐだぐだ思ったり考えていることを書き連ねることになるのは必至。

先日、懐かしい人物から、訃報の連絡があった。
懐かしい人物とは、2002年ごろに私のところで仏画の勉強をしていた男性である。
訃報の、その本人とは、その彼より前から私の工房で勉強をていた男性である。
当時、31歳だったと記憶しているので、まだ39歳の若さである。
突発性の心不全だったそうだ。

1歳の子供と愛する妻を残して逝った。

日本の伝統的な描法を愛し、芸大の大学院を主席で卒業した彼だったが、彼曰く、性にあわない中学校の美術教師を勤めながらの通い弟子だった。週に3日~4日、まる3年間通った。
結婚を機に、いろいろな事情が重なり好きな仏画の道に進むことを諦めた。
私の工房から出てからの彼の6年間、どんな感じで生活していたのか、想像はつくが、詳しくは知らない。

訃報の連絡をくれた彼も今では36歳になっているはずだ、彼も僅か1年で、諸事情があり一時は志をもって始めた仏画の勉強を泣く泣く諦めた経緯がある。
亡くなった彼とは先輩後輩の中だが、お互いが辞めた後もお付き合いをしていたのかもしれない。

今まで、私のところで勉強をした者は、3ヶ月~14年といろいろ居るが、振り返り勘定してみると全部で29人居る。
年に一度、年賀状で近況を知らせてくれる人はその内の7名のみ。
訃報を知らせてくれた彼と、亡くなった彼もその7名の内だ。

実は、今年も彼からの年賀状が届いていた。 「本年も宜しくお願いします。」・・・。

来年からは、確実にかつての弟子からの年賀状が一枚減ることになった・・・。

彼の冥福を心より祈るしかない・・・・合掌