コツコツドカンという株式投資の用語がある | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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 株で勝つのは簡単なんだよね。

 まともな思考力があれば誰でも勝てる。間違いない。断言できる。

 それくらい、チョロいことなんだよ。

 でもね、他方で、そんなうまい話、あるわけないよね。

 それだったら全員、株をやって、お気楽に暮らす。

 では一体、何が問題なのかというと、株は時折、大きく暴落することだ。

 大抵の人は、これをまともに食らってしまう。

 それまで連戦連勝でコツコツと稼いでいたのに、そのもうけが一挙に吹き飛んでドカンとやられる。

 株式投資の世界ではこれを「コツコツドカン」と呼んでいる。

 つまりね、損切りできないと、株は長期にわたって勝てないのだ。

 しかし、この損切りが難しい。

 人間の本能に反した行為だからね。

 損だと分かっているのに、それを確定させて受け入れる。

 相当な精神力が問われるよ。

 例えば、株に500万円を突っ込んでいて、その株が8%下落したとする。

 含み損は40万円にもなる。

 ここで損切りしないといけないわけだが、40万円だよ!

 私の感覚でいったら1~2ヶ月分のお給料に相当する。

 損切りしたら、それを全てドブに捨てることになる。

 精神が強靱でないと、そんなまねできないよ。

 だから、株は難しいんだよね。

 そして、そうやって、損切りできずにいる中、

「株価はきっと持ち直す。待っていればよい」

 などと、希望的観測に基づいて、現実をゆがませる。

 その結果、どうなるかというと、8%どころか20%くらい下落する。

 そうすると、含み損は100万円になる。

 まごまごしていると損失が拡大するんだよね。

 そして、損切りしないといけないのが分かっているのに、もはや100万円という大金になると、ますます、身動きが取れなくなる。

 それだけのお金をドブに捨てるなんて、普通の人の感覚では有り得ないからね。

 そして、次にどうなるかというと、さらに株価が下落して、購入価格より30%も落ちる。

 含み損は150万円に達する。

 こうなると、取り返しがつかない。

 損切りする勇気が出ないので、そのまま、塩漬けになって何年も放置する羽目になる。

 その間、実に500万円もの資金が拘束されて、投資効率が死んでしまう。

 一応、配当金はもらえるが、とてもじゃないが150万円の損失を取り返せるほどの額ではない。

 それまで何十万円も面白いように稼いでいたのに、一度、こうやって暴落に巻き込まれてしまうと、それまでの稼ぎが消失する。消失するどころか大損となる。

 これが株の難しさなんだよ。

 これを避けるには、自分の本能にあらがう必要がある。

 まずは損切りをしっかりやることだ。

 40万円だろうが、損切りしないといけないときは躊躇なくやる。

 そうすれば、資金を回収できるし、損失を限定的にできる。

 また、そもそも、株を売るするときも、ちょっと株価が上がったら確定させるのではなく、パラボリックのようなテクニカルチャートを週足で見て、一定期間の上昇分を受け止めてから利確する。

 そうすれば、儲けを大きくできるので、損切りする際の痛みを緩和させられる。

 株を売るときはすぐに利確せず、じっくりと利益が積み重なるまで待つ。他方で、損切りは、自分の定めた損切りラインに達したら問答無用で実行する。

 それができた者だけ、株で長期的に勝てるんだよ。

 相当な精神力・判断力・決断力が問われるわけであって、これが株の険しさだ。

 誰にでもできる芸当ではない。

 向かない人は、長期分散の積み立てインデックス投資以外、やるべきではない。