
風薫る5月。
新緑がまぶしく、着物で歩いていても気持ちのよい季節になりましたね。
出稽古先ですれ違うダンスの先生に、「着物、いいですねー」と声をかけていただき、なんだか嬉しくなりました。洋服の方から見ると、着物は見た目にも涼しげに映るようです。確かに、袖が揺れたり、足元が軽やかに見えたり、日本の衣装ならではの涼感がありますね。
とはいえ、着ている本人は案外暑いのです。
着物の決まりごとでいえば、5月はまだ袷の季節。
本来なら裏地のついた袷を着る時期です。
実際、歌舞伎観劇のように座って静かに過ごす日は、まだ袷でもちょうどよかったりします。劇場は冷房が効いていることも多いので、むしろ安心なくらい。
でも、私の仕事は踊り屋。
着物を着て、さらに踊るとなると話は別です。
5月に入ったら、私はほぼ迷わず単衣です。
なんなら長襦袢も省略して、半襦袢で軽くしてしまうことも。少しでも涼しく、少しでも動きやすく…と工夫しながら過ごしています。
そうなると今度は柄の問題が出てきます。
単衣の着物は、どうしても夏寄りの柄が多いので、早めに単衣を着たくても、朝顔のような盛夏の柄はまだ少し気が早い。結局、季節を限定しすぎない柄や、植物でも通年感のあるものが重宝するようになりました。
年々、春と秋が短くなっている気がして、「着物の暦」と「気温」の間で悩むことも増えています。
それでも、その時期ならではの装いや工夫を考えるのも、着物の楽しみのひとつかもしれません。
今年も暑くなりそう。
浴衣を着てしまうと、着物としてはもう最終形態というか、これ以上涼しくしようがないので、なるべく粘って(?)着物を楽しみたいと思っています。