不器用な人は日本舞踊に向いている | 藤間流日本舞踊教室 藤間明海「 日本舞踊と着物のおはなし」

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日本舞踊と着物の生活を、日々綴っています。
日本舞踊の楽しさや美しさを、どんどん発信していきたいと思います。





東京も今年は早々に梅雨入りしました。
あんなに暑かったのに、単衣の着物では寒いくらいの気温になり、着るものに困ってしまいます。

7月に発表を控え、出稽古先の大学や劇団でも熱心に(必死に?)お稽古を重ねています。
日本舞踊は、残念なことにもともと経験者が少ないので、私がお稽古をするときははじめましてさんがほとんど。

そして、不思議なことに器用な人ほどお稽古が続きにくいような気がしています。
器用だと、はじめは人よりすぐに振りも覚えるし、動ける。でもできるから、あんまり復習しない。
だって、その場でできてしまうから。

逆に不器用だと、その場ではわからない。
持ち帰って何度も繰り返す。次の週はなんとか追いついてくる、しかしまたお稽古するとわからない部分が増える、復習!と常に踊るループにはまる。

しばらくすると、ウサギと亀のように、不器用だったり、覚えがゆっくりだなと思っている子の方が伸びたりする。
そして、ゆっくりな子達は、「日本舞踊が好きなんです」という。教えはじめの頃は「ほんとに?」と思っていましたが、繰り返すことでハマっていくような沼感?が日本舞踊にはあるような気がします。
私もちゃんとしたいのに、不器用なので、日本舞踊が続いているような気がします。

日本の伝統芸能は、10年くらいかけてその入口に立てるようなものばかりなので、長い目で取り組むことが必要になります。
目先のことばかりに結果を求めずに、おおらかに続けていくことで、ひらける世界もあるのかなぁ。
急ぐばかりがよいことじゃないと、せっかちな私が思うほど、日本舞踊の歩みはゆっくりです。
ゆっくりだから見える景色もあるんですね、きっと。