膀胱炎は圧倒的に女性に多く、女性の5人に1人は一生に一度は経験すると言われています。また、膀胱炎になったことがある人は幾度となく繰り返すことが多いので、予防も含めて膀胱炎について説明いたします。
膀胱炎はこうして起こる
「膀胱炎」とは膀胱内で細菌が繁殖して、粘膜に炎症が起こる病気です。多くの場合は大腸菌が原因となって、尿道から膀胱へ侵入します。ただし、尿道や膀胱にはいろいろな感染防止機構があるので、細菌が侵入してもすぐに膀胱炎になるわけではありません。身体の抵抗力が低下していたり、膀胱内に尿がたまって細菌が繁殖しやすい状態の時に膀胱炎になりやすいです。
膀胱炎が起こりやすい人
◆女性であること
女性の尿道の長さは4～5㎝で、男性（17～20㎝）に比べて短くなっています。男性の場合、たとえ尿道に細菌が入っても、それが膀胱に達するまでに時間がかかり、到達前に尿によって排出されますが、女性の場合は尿道が短いために細菌が膀胱に達しやすくなります。その他、女性は尿道口の近くに肛門があるため、特に排便時に菌が尿道に入る機会が多くなります。
また、年齢的に見ると、女性は幼少の頃から発症しますが、年齢の上昇と共に膀胱炎が増える傾向があります。
◆40歳以上の男性
男性の膀胱炎は、ほとんどが何らかの原因で尿道が狭くなって尿が出にくくなる結果、膀胱に尿が溜まりやすくなったり、尿道に入りこんだ細菌を尿で洗い流しにくくなるために起こります。特に40歳以上の男性では前立腺肥大や尿路結石が原因となることがあります。
膀胱炎の3大症状
①尿：通常、健康な人の場合、1日の排尿回数はおよそ5～6回ですが、膀胱炎になると頻繁にトイレに行くようになります。これは、膀胱粘膜の炎症が神経を刺激するので、尿がたまっていないのに尿意をもよおし、ひどいときには30分～1時間ごとにトイレに行く場合もあります。
②尿痛：特に排尿の最後に痛みが激しくなります。これは膀胱が収縮するときに炎症を起こした粘膜が刺激されるために起こります。
③尿濁：正常な尿はほぼ透明ですが、膀胱炎になると目で見て分かるくらい尿が白く濁ります。この濁りは、細菌と戦うために集まった白血球や、炎症ではがれた膀胱の粘膜などです。
この他に「残尿感」があったり、症状が進行すると「血尿」が見られることもあります。また、まれに発熱することもありますが、膀胱炎で出る熱は、37℃程度の微熱なので、もし膀胱炎の症状に加えて38℃以上の高熱が出たり、腎臓部（背中の肋骨の下）に痛みを伴うことがあれば、「*腎盂腎炎」の可能性があります。
*腎盂腎炎：尿は腎臓の「腎実質」と呼ばれる部分で作られ、その後「腎盂」にたまります。腎盂腎炎では、「腎実質」や「腎盂」に細菌が感染して発症しますが、ほとんどが尿道から入った細菌が膀胱をさかのぼって腎臓に達します。放置しておくと腎臓の機能が悪くなったり、さらに細菌が血液中に入り「敗血症」などの全身の感染症に進展することもあるので、早急に受信することが大切です。
膀胱炎を繰り返さないために
急性膀胱炎になると抗生物質を3～7日服用するのが標準的な治療法ですが、膀胱炎は治りやすい反面、再発しやすいという特徴があります。治療後に膀胱炎を繰り返さないためにも、次のようなことに注意しましょう。
☆水分を多めにとる：膀胱炎になると排尿するときに痛みがあるので、水分を控える人もいますが、水分は多めにとるようにしましょう。水分をとって尿量を増やすと、尿道に入った細菌も一緒に外に洗い流してくれます。
☆排尿を我慢しない：無理に尿意を我慢すると膀胱の血行が悪くなり、膀胱がもともと持っている細菌感染の防御機構が低下してしまいます。また、尿が膀胱に溜まっている時間が長いと、それだけ菌が繁殖しやすくなるので、尿意を感じたらなるべく速やかに排尿するようにしましょう。
☆過労や冷えに注意する：疲労が重なったり、身体が冷えたりしたときに膀胱炎は起こりやすくなります。このような状態では細菌などに対する身体の抵抗力が低下してしまいます。
☆清潔にする：女性は特に尿道から細菌が入りやすい構造をしているので排便後は前から後ろへ拭く、ウォシュレットを使う、入浴や下着交換をまめに行うなどしましょう。
膀胱炎などの排尿異常に用いる漢方薬
竜胆瀉肝湯、猪苓湯、五淋散、清心蓮子飲、八味地黄丸などの漢方薬が用いられます。中でも、猪苓湯・五淋散は抗生物質と同等の顕著な効きが期待できます。
膀胱炎などの排尿異常で悩んでいる方は、是非富士越薬局までご相談くださいませ。