JR東海を代表する在来線車両といえば間違いなく313系でしょう。

313系は1999年から15にわたり製造され続け、かつてはJR東海の全電化区間で使用されていました。

なぜ313系はここまで勢力を伸ばしたのか?それは、313系がJR東海の理想を全て叶えた超優秀な車両だからでしょう。

どれも見た目が一緒で違いがよくわからないと思われがちな313系ですが、じつは様々な個性があり、知ればJR東海区間の旅が非常に楽しくなると思います。

ここでは313系について徹底的に解説していきます。

 

313系の基本情報

313系は近郊型車両に分類され、片側3扉となっています。

車体はステンレスとなっており、前面の顔のみ普通鋼となっています。

デザインは一部の車両を除きステンレス車体、白顔、オレンジラインというJR東海伝統のデザインとなっています。

 

前面には行き先と種別を表示する幕・LED表示器と前照灯が4つ、尾灯が2つ設置されています。

側面には211系5000番台、311系同様ビードが入っています。

 

313系の主要諸元

313系の主要諸元を211系5000番台、311系と比べてみました。

こうしてみると、313系は既存の車両に比べ着実に進化していることがわかります。

特に顕著なのは加速性能で、起動加速度が高いのは勿論のこと、313系は2,3,4,6両編成がするが、MT比は全て1:1に統一し加速性能を上げています。

奇数の3両編成は中間車の片方の台車を動力車とすることで、MT比を1:1に統一しています。

加速性能を上げることでローカル運用でのスムーズな加速が可能になるのは勿論のこと、快速運用でも最高速度を引き上げずとも所要時間の短縮に成功しています。

▲3両編成のMT比のイメージ。中間車の台車を片方動力車にすることでMTVを1:1にしています。

 

製造年度による仕様の違い

313系は15年にわたり製造されたため、製造時期によって仕様が変化しています。

313系を楽しむためにも313系の製造年度ごとの仕様の違いを覚えましょう。


・1次車、2次車

1998年度から2000年度にかけて製造されたグループです。

前照灯は白熱灯、行き先表示器は幕式と一昔前の仕様となっています。

2次車は313系8000番台が該当します。JR東海の在来線車両として初めて転落防止幌が新製時から設置されています。

▲1次車の3000番台。幕式の行き先表示器と白熱灯式の前照灯が特徴です。

▲2次車として導入された8000番台。セントラルライナーが好評のため、増備されました。

 

・3次車

大きな仕様変更が生じたのは2006年に製造された3次車からです。

外観的な変化として前照灯が白熱灯からHIDライトに変更されました。また、行き先表示器が幕式からフルカラーLED式に変更されました。

車内の変更点として一番大きいのはトイレです。元々車いすに対応した大型のトイレが設置されていた313系ですが、3次車からはさらにスペースが拡張され、扉が半自動ドア化されました。

また、3両編成以上の車両は2kl/minのコンプレッサーをクハ312形に搭載されていましたが、3次車から1kl/minのコンプレッサーを分散して搭載する形に変更されました。

その他、細かい変更点として「列車無線アンテナ、ワイパーの位置変更」、「運転席への電流計、非常通報装置の設置」などが挙げられます。

▲3次車から登場した2600番台。HIDライト、フルカラーLED表示器のおかげで見た目が大きく変化しました。

▲1・2次車のトイレ。十分広いですが、対面にボックスシートが設置されています。

▲3次車のトイレ。面積拡大により通路までせり出しているため、対面の座席は省略され車椅子スペースとして使用されています。

 

・4次車

2010年から2012年度に製造されたグループです。

3次車と見た目は殆ど変わっておらず、1・2次車から3次車程の変化は見られません。

変更点としては「車両間のドアが傾斜式から水平式に変更」、「ロングシート横の袖仕切り板が大型のものに変更」、「車内ステッカーの変更」などです。

なお、「床面の靴ずり部に黄色いシートを設置」、「優先席の枕カバー、モケットをオレンジ色に変更」、「優先席付近のつり革をオレンジ色に変更」といった仕様は4次車で初めて採用され、既存の車両にもフィードバックされました。

▲ローカル線向けに導入された1300番台は4次車で新規投入されました。

▲転換クロスシートの優先席。枕カバーがオレンジ色になっています。

 

・5次車

2015年の電化開業に合わせ2014年度に増備されたグループです。

基本的な仕様は4次車と殆ど変わりませんが、車内照明がLEDに変更され、既存の車両にもフィードバックされています。

 

313系のおおまかな番台区分

313系は全部同じように見えて、実は非常に細かい番台区分がされています。

313系は車内の座席のパターンによって大まかな番台区分がされているので、まずはそこから覚えましょう。

 

・0番台グループ

0番台グループは全席がクロスシートとなっており、ドア横と車端部のシートは固定クロスシート、それ以外は転換クロスシートとなっています。

 

・1000番台

1000番台グループは0番台の車内をベースとしながら、車端部はロングシートとなっています。

元々混雑がひどい中央本線に向けて投入されたため、少しでも混雑を緩和するための措置と思われます。

▲1000番台の車内全景。

▲313系標準の転換クロスシート。

▲車端部に設置されている4人掛けのロングシート。かつて優先席のモケットは一般の座席と同じ色でした。

 

・2000番台グループ

2000番台グループは静岡地区向けに投入されたグループです。乗客の入替が激しい静岡地区を考慮し、全席ロングシートとなっています。

▲2000番台グループの車内全景。スタンションポールが設置されています。

▲ロングシート。211系5000番台のシートを踏襲したバケットシートとなっており、乗り心地はなかなかいいです。

 

・3000番台

3000番台はローカル線向け車両として導入されたグループで、セミクロスシートとなっています。

全編成がワンマン運転に対応しています。

▲3000番台車内の全景。

▲ボックスシート。造りがしっかりしており、壁側にも手すりが設置されている点が評価できますが、背もたれが直角な点が玉に瑕です。

▲かつての優先席のモケットは灰色でした。

 

・5000番台グループ

5000番台は全席転換クロスシートとなっているのが特徴です。更に車体間ダンパーを装着することにより、普通列車としては異次元の乗り心地を提供しています。

▲5000番台の車内全景。

▲ドアとシートの間に仕切り板を設けることで、全席の転換が可能となりました。

 

・8000番台グループ

8000番台は中央本線の有料快速「セントラルライナー」用の車両として投入されました。

8000番台だけ外装のデザインが他の313系とは違うため、すぐ判別可能である。

また、有料快速用の車両なだけあり、内装も若干豪華仕様となっています。

▲8000番台は見た目が違うため、すぐに判別可能です。

▲8000番台の車内全景。ブラインドは布カーテンになっています。

▲8000番台の座席。構造は他の313系と一緒ですが、モケットの色は373系のような色になっています。

▲車端部の座席は固定クロスシートとなっています。

真ん中にはテーブルが設置されており、373系のセミコンパートメントのような雰囲気です。

 

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