短編小説 真夏のトライアングル
作:NaNa
★17
優真と知り合った翌朝、ぼんやりとした遠い夢から抜け出ると同時に、頭からバケツの水をかけられたように優真のことを思い出した。黙っていても微笑んでいるような瞳、何気ない言葉でも、大切なことを囁いているように聞こえる低音の乾いた声。
結局、夜になって眠りにつく直前まで、優真のことが頭から離れなかった。何をしていても、どこかで優真に見られているような錯覚がまとわりついたり、思いもよらぬ瞬間に優真のさまざまな表情を思い出して、胸の奥がねじれてきゅっと息苦しくなったりする。
彼女を作らない主義だという人を好きになるなんて、私はなんてばかなんだろう。
忘れなければと思った。