短編小説 真夏のトライアングル
作:NaNa
★13
古いエアコンが効かないせいで部屋は蒸し暑く、私たちは汗ばんでいた。ひとしきり曲を聴いた後、並んでソファに座り、バーボン入りのコーラを一気に飲んだ。
少しの沈黙の後、優真が誘うような目で私を見た。汗で髪が張り付いた優真の顔がきれいで、私は抑えきれずその唇に指先で触れた。ふわりと柔らかく湿ったその感触に、憑かれたように繰り返し指を滑らせる。
衝動のままに、手が動いてしまう。
「ふたりのシーズン」の愛の行為を思わせる淫靡な雰囲気と、のどを熱くするバーボンが、私を酔わせているせいかと思った。でも、そうではなかった。