真夏のトライアングル(3) | NaNa's secret world

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短編小説 真夏のトライアングル

作:NaNa

 

 

★3

 私は外の空気を吸おうと、掃き出しの窓を引き開け、裸足で狭いベランダに出た。

 

 夜と明け方の間の深藍色の空の下で、深夜の土砂降りに洗われた周囲の家並みは、まだ眠りの中にいた。

 

不思議な夢を思い返した。こんなに麗子さんが恋しいのに、なぜその影が怖いのだろう。

 

「しっかりしようよ、花音」私は自分の頬をぱしぱしっと叩いた。

 

 手すりに頬杖をついていると、隣室のサッシが軋む音がした。咄嗟に窓に身をひそめると、二メートルほど離れた隣のベランダに人影が現れ、手すりにもたれかかった。ここで何度か遭遇している青年だった。

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