2023年 春の岩手・三陸とりっぷ⑧大船渡線BRTで気仙沼へ | 風かおる 鉄の路

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主に私が乗車した乗り物関連(鉄道中心)、その他気になったことを綴っていきます。稀にお絵かき。

BRTに乗車!

盛駅は三陸鉄道リアス線の起点駅。
リアス線はここまでで、この先に向かう鉄道路線はありません。
2011年3月11日まではこの先、大船渡・気仙沼方面へ向かう大船渡線が運行されていましたが、東日本大震災の被害から復旧することなく廃線となっています。
 
ということで、三陸鉄道以外の鉄道路線は存在しないはずですが…
 
おや?これは…
明らかに三陸鉄道でない車両、しかも貨車が停まっています。
これは何でしょうか?
 
その正体は岩手開発鉄道の車両。
岩手開発鉄道は盛~岩手石橋間の日頃市線9.5km、盛〜赤崎間2.0kmの赤崎線という2つの貨物線を運行しています。
岩手石橋駅にある太平洋セメント大船渡鉱山で採れた石灰石を赤崎駅にある太平洋セメント大船渡工場に運ぶことを役割としており、東日本大震災以前から三陸鉄道・大船渡線に乗り入れていませんでした。
貨車がたくさん止まっている姿は賑やかですね~
 
ここまで三陸鉄道を通ってきましたが、ここからは再びJR東日本に戻ります。
といっても乗車するのは鉄道ではなくバス。
大船渡線の代わりに走っている大船渡線BRTです。
 
あえて外に出てみましたが、実は三陸鉄道と大船渡線BRTはホームを共用しており乗り換えは簡単。
 
駅名標は鉄道、
 
駅舎も跨線橋もあるのに…
 
線路があるはずの場所にはアスファルトが敷かれており、
 
やってくるのはバス。
なんとも違和感だらけですが、これが大船渡線BRTです。
 
大船渡線はもともと一ノ関~気仙沼~盛間全105.7kmを結ぶ路線でした。
しかし東日本大震災の津波で沿岸部を走る区間の駅舎や橋梁が流失。気仙沼~盛間で運休が続いていました。
 
2013年にこの区間でバス高速輸送システム(BRT)による仮復旧が行われた後も鉄道での復旧が模索されましたが、復旧費が総額で400億円となること、利用者が減少傾向なことから2015年にはBRTでの本復旧が決定。
鉄道事業の廃止届が出され2020年4月1日、気仙沼~盛間43.7kmは書類上も鉄道事業が廃止となってしまいました…
全体の4割を失い、線名の由来である大船渡へ行けなくなった大船渡線。
その後を引き継いで運行されるのが大船渡線BRTなのです。
 
鉄道路線を引き継いだBRT。いったいどんなものなのか…
さっそく乗車しましょう!
向かうのは終点の気仙沼です。
 
車内は通常のバスと同じ。
さあ、出発です!
 
盛を発車したBRTはまずは線路敷を転換した専用道を走行していきます。
専用道と一般道の交差点には踏切みたいに警報機と遮断器が設置され、一応分離されているようです。
 
 
最初の停留所、田茂山に停車。
鉄道時代はここに駅はなく、BRTになってから新たに停留所が設けられました。
 
 
盛から3停目、大船渡に到着。
大船渡線の名前の由来です。
以前は駅舎を持つ駅でしたが、現在は停留所の簡素な屋根とちょっとした待合室・トイレのみとなっています。
 
大船渡を出るとBRTは水産関係の倉庫群のそばを通っていきます。
 
その名も大船渡魚市場に停車。
市の沖合に漁場があることから、有数の水揚げ高を誇っているそうです。
 
BRTは高台に登っていき、大船渡湾の眺めを楽しむことができます。
それと同時に目につくのが大きな防潮堤。
大船渡市は東日本大震災で最大波高9.5mの津波に襲われており、大きな被害を被ったそうです…
 
大船渡湾の夕暮れ。
穏やかな風景です。
 
細浦に停車。
 
ちょうど盛行きのBRTとすれ違いました。
線路跡を専用道にしたので1車線しかなく、鉄道と同じように行き違いが発生します。
 
盛から8停目、小友に到着。 
 
ここまで専用道を通ってきたBRTは一般道へと入ります。 
 
専用道の出口には遮断器が設置され、一般車両の進入を防いでいるようです。 
 

奇跡の一本松

一般道に降りたBRTは陸前高田市の中心部のほうへ向かいます。
 
新しい病院の構内に入っていきました。
 
その病院の中にある停留所「高田病院」に停車。
BRTになってから設けられた停留所です。
 
続いて高田高校前に停車。
このように公共施設の前に停留所を置けるのは小回りのきくBRTならではですね。
 
陸前高田に停車。
もともとの陸前高田駅とは離れた街の新中心部にある停留所です。
BRT単独停留所としては唯一のみどりの窓口がある停留所だそう。
駅舎があってみどりの窓口まであるなら列車は来なくても「駅」と呼べる気がします。
 
陸前高田を出たBRTは陸前高田の市街地を走っていきます。
窓から見える車窓にはまだまだ空き地も多く… 
 
次に入ってきたのは大きな建物のある施設。
 
道の駅高田松原です。 
東日本大震災によって大きな被害を受けつつも、高田松原津波復興祈念公園の一部として復活しました。
旧道の駅の建物は震災遺構として保存されているそうです。
 
この道の駅最寄りの停留所名は道の駅高田松原でも祈念公園でもなく「奇跡の一本松」。
 
名前の由来となった「奇跡の一本松」はBRTが停留所を離れた後で遠くに見えました。
 
以前この場所には日本百景にも選ばれた高田松原があり、約7万本の松の木が立ち並ぶ風光明媚な場所でした。
しかし東日本大震災の津波でそのほとんどがなぎ倒され、数少ない残った松のひとつがこの一本松でした。
この残った松がいつしか「奇跡の一本松」と呼ばれるようになり、保護活動が行われましたが津波のダメージは大きく枯死。
その後防腐処理作業が行われ、現在に至るまで復興のシンボルとして保存されています。
 

BRT、高速道路へ!?

奇跡の一本松を眺めたあと、BRTは県境越えに差し掛かります。 
 
…あれ?
 
…!
ここでなんと、高速道路に入りました…!
 
実は大船渡線BRTは唐桑大沢〜 八幡大橋(東陵高校)間で三陸沿岸道路(三陸道)[唐桑小原木IC〜気仙沼鹿折IC間]を経由するのです!
 
福岡では一般路線バスが都市高速を走るので違和感はあまりないですが、鉄道代替BRTが高速道路を走るのは面白いですね。 
 
なお、大船渡線があった場所と離れたところを走行するため途中の上鹿折は経由できません。
代替でミヤコーバス鹿折金山線の気仙沼駅前 〜上鹿折駅前間をBRT扱いとして乗車券が発売されているようです。
 
気仙沼鹿折ICで高速を降り、 八幡大橋(東陵高校)に停車。
 
鹿折唐桑に停車。
ここから久しぶりに専用道区間となります。
 
日が落ちた専用道を走ります。
 
18:14、大船渡線BRTは終点の気仙沼に到着しました。
 
 
ということで、大船渡線BRTの乗車記でした! 
専用道を通るため定時性が保たれつつ、病院や学校などの公共施設や観光施設の前まで行ける小回りなBRTになったことで、利便性は確実に上がったのではないでしょうか?
その反面、使用車両がバスのため乗り心地は鉄道ほど良くなく、鉄道時代より所要時間がかかっているというデメリットもあります。
 
個人的には以前仙台〜八戸間で運行されていた快速リアス・シーライナーのような直通列車が二度と運行できなくなったことが残念ではありますね…
 
続きます。

 

 

★乗車データ

大船渡線BRT 1352F 気仙沼行き 盛(16:50)→気仙沼(18:14)

※2023年4月1日乗車

 

 

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