第三セクターの優等生?
甘木鉄道甘木線は旧国鉄甘木線を転換する形で1986年4月1日より基山〜甘木間で運行を開始しました。
第一次特定地方交通線に指定されていた路線でしたが、福岡都市圏に近かったことや、駅移転・新設、増便などの積極策を行ったため、2005年までは黒字を計上しており、「第三セクターの優等生」と呼ばれていました。
現在も赤字額が第三セクター鉄道の中では最小であり、経営状態は良好です。
そんな転換路線の成功例ともいえる甘木鉄道に乗車してきました。
基山駅へ
2023年11月25日。
始発駅の基山にやってきました。
甘木鉄道ののりばはJR九州ののりばと異なり、自由通路の途中にある階段を降りて向かいます。
こちらが甘木線のホーム。
基山駅の一番端にあります。
線路自体は門司港寄りで鹿児島本線と接続されているものの、実際にはその部分は土砂が被せられており、列車の行き来は不可能。
基山駅の駅名標。
JR九州に受け継がれることなく転換された路線ですが、なぜかJR九州に似たものになっています。
甘木鉄道に乗車
甘木からの列車が入線してきました。
AR300形AR307、2023年3月より社員の公募による新カラーになった車両です。
車内はロングシート部と4人がけ+2人がけのボックスシート部に分かれています。
甘木鉄道は甘木駅のみに券売機があり、その他の駅では整理券を取って車内で運賃を払う方式だそう。
14:51、基山を発車。
直ちに鹿児島本線と分かれ、国道3号を立体交差で越えていきます。
最初の停車駅、立野に停車。
九州自動車道の真下にある駅です。
立野を過ぎると佐賀県から福岡県へ。
増発のために2003年に作られた大原信号場を通過しましたが、見落としてました…
スロープが設置された大きな建物が見えてきました。
ショッピングセンターにも見えますが、実は倉庫。
GLP福岡小郡といって、ちょうど旅行時の2023年11月に稼働が始まりました。
道路に面した場所には緑や半屋外型のウッドデッキを備えた交流拠点「リビングラボ」があり、誰でも入れるようになっているのだとか。
やがて、大分自動車道が横に並走するようになってきました。
小郡に停車。
福岡県小郡市の中心地にあり、西鉄天神大牟田線との乗り換え駅。
転換時にそれまでの筑後小郡駅から500m移設され、西鉄との乗り換えの利便性を図っています。
小郡を出るとすぐ西鉄天神大牟田線の上を通過。
やがて大分自動車道上のバスストップが見えてくると、次の大板井に到着です。
大板井は転換後に新設された駅。
高速小郡大板井バス停に隣接していて、福岡・日田・大分方面への高速バスに乗り換えできます。
次の松崎に停車。
転換にあたって交換設備を復活させた駅。
ちょうど対向列車との行き違いが行われました。
今隈に停車。
2002年開業と甘木鉄道では一番新しい駅です。
次は西太刀洗。
列車はここから三井郡大刀洗町に入ります。
山隈に停車。
1359年の筑後川の戦いの後、菊池武光が刀の血糊を洗ったという「太刀洗」の名前の由来となった地が近くにあるそうです。
山隈を出ると太刀洗に停車。
実は大刀洗町ではなく筑前町にある駅。
大刀洗陸軍飛行学校の正門前にあった駅で、戦前は賑わったそう。
現在は駅のすぐそばに大刀洗平和記念館があり、駅前には航空自衛隊のT-33練習機が展示されています。
終点の一つ前、高田に停車。
最後に小石原川を渡ると朝倉市へ。
洗車機が見えてくると終点の甘木に到着です。
約25分の短い旅でした。
反対ホームにはAR304が停車中。
奥を見ると国鉄色2両が停車していました。