九州を走るクルーズトレインといえば「ななつ星in九州」ですが、なかなか手の届きにくい列車です。
私も1回は乗ってみたいのですが、価格が価格だけに難しいです…
しかし、さすがはJR九州。
2020年10月、誰でも手軽に乗ることができるもう一つのクルーズトレインをデビューさせてくれました…!
それが「36ぷらす3」。
九州を1周するクルーズトレインで、ななつ星とは違い、寝台が設置されていない(夜間の運行は行わない)、各日ごとに分割して利用できる、みどりの窓口での販売も行われる、など利用しやすい列車となっています。
車両は787系6両編成を改造した6両編成。全車グリーン車で個室と座席との2種類が存在します。
コースは5つに分かれており、
赤の路(木曜日):博多→熊本→鹿児島中央(肥薩おれんじ鉄道線経由)
黒の路(金曜日):鹿児島中央→宮崎
緑の路(土曜日):宮崎空港→宮崎→大分→別府
青の路(日曜日):大分→別府→(門司港)→小倉→博多
金の路(月曜日):博多→佐賀→長崎、長崎→佐賀→博多
のように5日かけて九州全県をめぐります。
このうち最も気になるのはもちろん木曜日の赤の路。
肥薩おれんじ鉄道線に乗り入れるのが鉄道ファン的には大注目なのです。
第三セクター化される前、この区間は787系による特急「つばめ」が行き来していましたが、2004年3月以降は気動車の普通列車のみの運行に。
36ぷらす3が運行開始されることにより16年ぶりの787系特急乗り入れとなります!
しかも36ぷらす3はビュッフェも復活。
肥薩おれんじ鉄道線区間に乗り入れといい、ビュッフェ復活といい、これはもう実質特急「つばめ」復活ですね!
ということで、今回は木曜日の赤の路に乗車してきました。
2021年2月18日。博多駅にやってきました。
が…

どうやら大雪のせいでダイヤが乱れているようで…
36ぷらす3は果たしてちゃんと運行するのでしょうか?

そんな不安をよそに、36ぷらす3の入線放送が流れます。
「まもなく6番のりばに特急鹿児島中央行きの到着です」
…36ぷらす3の放送パーツは入っていないようですね……
長崎駅など一部の駅にはパーツあるようなので博多駅でも実装されるといいですね。

定刻通り、787系BM-363編成が入線してきました。
博多駅在来線ホームで鹿児島中央の表示が見られるとは…!

今回は3号車の2人用個室に乗車します!
ここは種車の4人用セミコンパートメントを改造した区画です。

参考:種車と同タイプの4人用コンパートメント席(2021.2.21撮影)

もとが4人用の区画を2人で使うので広々していますね。
席についたところで列車は鹿児島中央へ向け、定刻通り発車しました。

発車するとすぐアテンダントさんから赤の路の紹介パンフレット、ビュッフェのメニュー表、そしてこの情勢ならではのマスク入れを頂きました。
マスク入れは36ぷらす3のロゴ入り。貴重になりそうです。

荷物を置き、落ち着いたところで車内の様子を見に行きます。

まずはお隣のビュッフェへ。
ここは特急「つばめ」時代にもビュッフェだった場所で、「リレーつばめ」化改造のときにドーム型天井はそのままに座席車に改造、その後再度ビュッフェへと改造されたものです。

参考:種車と同タイプのビュッフェ改造席(2021.2.21撮影)

「つばめ」時代は乗ったことがなく、このドーム型天井を見るたびに「ビュッフェ時代に乗りたかった…」と思っていたので、こうしてビュッフェとして利用できることに感動です。

車販準備室だった場所もショーケースに改造。
ちなみにこの車両のみ車両向きの方転が行われています。

4号車はマルチカー。誰でも使えるフリースペースで、車内イベントにも使われています。
鉄道車両にこういうフリースペースがあるのは個人的にすごく好感が持てますね。

車内には大きなモニターも。
36ぷらす3にまつわるエピソードが放映されていました。

車端部には書棚があり、JR九州の観光列車や水戸岡鋭治氏に関する本が並んでいました。

続いては5号車。
座席は800系のものに似ていますが、2+1列のゆったりしたシートなのが特徴。

背もたれ裏側にはいろんなものが入れられるポケットが何個かついていました。

デッキドアには種車と同じく電光表示板が。
ここだけ見ると普通の787系と同じ車両であることを強く感じます。

そのお隣、6号車に入るとまず大きな収納スペースが。
さらに進むと…

靴脱ぎスペース?
どうやらこの先は土足禁止なようです。

このような各座席ごとの靴箱も用意されています。

なぜ土足禁止かというと、この先が畳敷きとなっているため。
JR九州で畳敷きの車両は1994年にお座敷列車が全廃となって以来26年ぶりです…

靴を脱いで乗れる列車、なかなか貴重ですね。

運転室側にはフリースペースも。

障子を開けてみると…雪景色!?
今朝の大雪で積もった雪がまだ残っているようです。
36ぷらす3から雪景色を眺める…めったにできない経験ではないでしょうか?

列車は鳥栖に運転停車。
保存されている268号機関車も寒そう…

車内探検を終え、マルチカーで一息ついていると、列車は急に速度を落とし始め、ついに駅間で停車してしまいました…
まだ筑後川を渡る前。肥前旭~久留米間です。
大雪によるダイヤ乱れの影響だとは思いますが観光列車なので放送は流れず。

少し不安ですが、まだまだ先は長いのでここは非日常な雪景色を楽しむことにします。

うわっ…真っ白…
九州の平地ではなかなか積もることはないのでめったに見ることができない光景です。
まるで新潟かどこかを走る観光列車に乗っているような感覚になります(笑)

列車は13分ほど停車した後ゆっくりと走り出し、筑後川を渡りました。
久留米駅を通過し、列車は南下していきます。

筑後船小屋を通過する頃には雪はほとんど残っていませんでした。

自席に戻る前にビュッフェでグッズを買っていると…
どうやらCOVID-19の影響で酒類は11時からしか販売できないらしく、買おうとショーケースからレジに持ち込んだお客に対し、アテンダントの方が「あと7分なんですけどね…」と言うという一幕が見られました(笑)

「有明」の始発地・大牟田で運転停車した後、列車は熊本県へと入ります。

長洲の手前では遠くに雲仙普賢岳の姿も見えました。

列車は玉名駅に到着。
ここでは「特別停車」という形でここまでの利用やここからの利用はできませんが、一旦車外に出る事ができます。

荒尾・玉名の地元の方々がお出迎えしてくれました。

特産物の販売が行われ賑わっている中…

金魚すくい体験ができるということでやってみることに。

ポイを受け取ってさっそく挑戦してみると…

なんと成功してしまいました…!
数少ない私の金魚すくい経験の中で初めての成功です!
さすがに持って帰ることはできませんでしたが、楽しい体験でした。

せっかくなので駅の外へも。

何やら大きな鐘が…
これは玉名市にある蓮華院誕生寺奥之院の世界一大きい梵鐘「飛龍の鐘」のレプリカ。
本物は 直径2.88m、高さ4.55m、重さ37.5t もあるそうです。

全線開業前は特急停車駅だったこともあり、その名残りが感じられる駅ですね。

ホームにあった洗面台は蒸気機関車時代の名残りなのでしょうか…?

発車まで時間があったので編成写真を撮ってから車内へ戻ります。

11:45、列車のドアが閉まり、地元の方に見送られ玉名駅を後に…
…あれ?
信号の関係からか、なかなか発車しません。
結局ドアが閉まってから3分後の11:48に列車は玉名駅を発車しました。
ここまでの遅れは18分。これからどうなるでしょうか…?
続きます。
次回→(執筆中)