今回のは続き記事となります。

 

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新・日本の階級社会・・・・・

 

 

 

 

 

6 格差をめぐる対立の構図

 

  • 対立する二つの立場
 
  • 格差拡大の事実を認め、その縮小が必要。軍備拡大には反対で民族的な排外主義には反対の立場
 
  • もう一方、格差拡大の事実認めず格差縮小のための政策に反対、軍備拡大と排外主義の立場
 
  • そして少数ながら格差縮小と軍備拡大と排外主義を同時に主張する人々
 
  • 若者の保守化、「ネット右翼」 左翼的、排外主義的、とくに中国と韓国
 
  • ネット右翼、そのほとんどが定職をもたない低収入の若者という言説
 
  • 排外主義運動の活動家は大卒者が多く、その大部分が正規雇用のホワイトカラーとの調査結果
 
  • 他の調査結果だとネット右翼は多くが30代~40代で、ホワイトカラーと自営業者多い、大卒が六割超える、収入高め
 
  • ほかのアンケートでは若者が他の年代に比べて、明確に排外主義と軍備重視の主張を支持しているとは言えない
 
  • 特権階級は自分たちが恵まれた立場にあることを隠すため、今の社会で格差が小さいと主張するだろう
 
  • 逆に下層階級の人々は格差が多きいと主張するだろう→格差の大小は政治的対立の争点
 
  • アンダークラスは格差が大きすぎると考える傾向が際立って強い
 
  • また、アンダークラスでは自己責任論は強く否定の傾向
 
  • 所得再配分を支持する傾向がアンダークラス際立って高い、次は旧中間階級、次は主婦層
 
  • 排外主義と軍備重視を支持する人は格差拡大の事実を認めず、所得再配分に反対する傾向が強い
 
  • アンダークラスでは所得再配分を支持する人ほど排外主義的な傾向が強い
 
  • 日本の伝統的左翼勢力の間で信じられてきた有力な仮説「社会主義階級仮説」
 
  • 資本家階級による労働者階級の搾取と格差→それが拡大していく→富の集中と貧困化→労働者階級の直接行動か議会での政権掌握→資本主義廃絶か修正→格差縮小実現・・・加えて戦争責任追及と被侵略国に対する贖罪
 
  • こうした仮説は現実とはかけ離れている
 
  • 階級構造の複雑化、労働者階級は新中間階級と労働者階級へ分裂、さらにその労働階級は正規労働者とアンダークラスに分裂
 
  • この三者には大きな格差と差異
 
  • 新中間階級と正規労働者は貧困層に冷淡、アンダークラスに敵対的
 
  • アンダークラスはソーシャルキャピタルの蓄積に欠ける、連帯の機会をもたない、身体的精神的な問題→不満が平和への要求ではなく排外主義へと結びつきやすい→格差縮小困難

 

 

 

 

 

 

 

7 より平等な社会を

 

  • 格差縮小のための有効な手立てである所得再配分に対して広く合意形成されているとは言い難い
 
  • 資本家階級、新中間階級、正規労働者階級はアンダークラスに比べて所得再配分を支持しない傾向がある
 
  • 所得再配分に否定的な傾向を生み出す要因、1 格差拡大に対する認識不足  2 自己責任論の立場  3 資本家か新中間階級か正規労働者のいずれかの階級に所属すること
 
  • 格差社会の克服に向けた二つの課題 、 格差拡大と貧困層の増加とその弊害に対する共通認識、そして新中間階級と正規労働者にむけて、自己責任論の間違いを説得
 
  • アンダークラスの増大→社会コストの増大、格差固定化→さらに多くの社会的損失
 
  • アンダークラスを中心とした貧困層、生存権の保護がされていない、結婚と家族形成の機会を得られない
 
  • これは倫理的に看過できない
 
  • 社会コストの増加、格差が大きい社会は小さい社会と比べて平均寿命低い
 
  • 理由・貧困層は健康を害しやすい医療受けられない
 
  • そのほか生活に不自由なくても他人と比較して不満→豊かな人に反感→経済格差拡大で公共心や連帯感喪失→友情の不形成→コミュニティへの不参加→犯罪増加、精神的ストレス→健康悪化→平均寿命さがる
 
  • 格差拡大で貧困層多い社会は病んだ社会、→犯罪増加→豊かな人々も健康悪化
 
  • 貧困層増加→納税困難者+社会保障支出増加
 
  • 研究機関の試算では、就職氷河期世代の非正規労働者のうち65歳になった時点で77.4万人が生活保護でその費用17.7~19.3兆円
 
  • 格差拡大の問題点、貧困による教育の機会喪失、才能が埋もれる→人的資源の損失→生産性の低下→GDP成長率引き下げ
 
  • 自己責任の範囲が際限なく拡大、失業、非正規労働、貧困がすべて自己責任
 
  • 正規雇用縮小の現状、やむを得ず非正規労働は自由選択ではなく社会的強制
 
  • 離別、死別によるものはやむをえないことが多い、その結果、非正規労働になったのも社会的強制
 
  • 不景気による倒産解雇も自己責任でかたずけられない
 
  • 自己責任論は貧困を生み出しにくい社会の仕組みを作り出し放置してきた人々を免罪するもの
 
  • 企業や政府の責任は不問にし、責任がない人に押し付けるもの
 
  • 1998年、政府の諮問機関として設置された経済戦略会議では、努力した人が報われる(社会)→努力された人≒高所得者→努力しなかった人≒低所得者 というくくり
 
  • 努力の程度は所得によって、一般化すると社会的成功の程度によってはかることができるという極度に単純な想定
 
  • そして、努力した人が報われる公正な税制化改革→富裕層減税と低所得者増税
 
  • 努力した人が報われる社会→格差正当化するイデオロギーとなる
 
  • 格差縮小手段、 1 賃金格差の縮小 2 所得の再分配 3 所得格差を生む原因の縮小
 
  • 1 賃金格差の縮小 自分が社会から尊重されていると実感できるだけの賃金が支払われる必要あり
 
  • → 均等待遇の実現、正規雇用者と非正規雇用者の賃金格差大きい。 
 
  • → 最低賃金の引上げ、最低賃金1000円にひきあげ、ただこの金額はゴールではない、1000円の最低賃金は貧困線ギリギリライン
 
  • →労働時間短縮とワークシェアリング、一人当たりの仕事の量や労働時間をへらして、雇用される人数増やす
 
  • 格差が大きい国ほど労働時間長い傾向、低賃金の労働者は生活のため長時間労働せざるを得ない
 
  • 一方、高賃金の労働者の残業代が上がると、残業へらすと高い賃金が犠牲となりやはり残業多くするようになる
 
  • 格差縮小のためにはこれとは反対に、正規雇用の労働時間短縮→雇用人数増やす
 
  • ワークシェアリングの活用で税制や社会保障にたよらず所得の配分を平等にもってける
 
  • 所得の再配分→大資本家と被雇用者の格差を縮小させる
 
  • 累進課税の強化、高所得者の富は、社会の安定と質の高い労働者の存在、交通運輸通信などの社会資本の充実により実現されている
 
  • →これらインフラは政府が税金を使い整備した→高所得者は税金から多くの恩恵を受けている
 
  • トマ・ピケティ「21世紀の資本」によると最高税率の下げ→大企業経営者の報酬が急増
 
  • それは税率下がると報酬の引き上げが自らの手取りに直結→経営者たちのモラルの低下
 
  • 消費税に累進性必要。食料や日用品の税率下げ、ぜいたく品には税率上げ
 
  • 金融資産に対する資産課税、庶民の資産には課税しないよう控除枠つき
 
  • ピケティは、加えて国際的な課税回避を防ぐため、国際的枠組み、金融の透明化と情報共有の徹底を主張
 
  • 生活保護の実効性を確保、貧困層のごく一部しか受けることができていない、機能不全の制度
 
  • 自治体の一部では「水際作戦」といわれる、申請に来た住人をいろいろな口実をつけて追い返す対応をしている
 
  • 水際作戦は、自殺や無理心中なd数多くの悲劇を生み出した
 
  • 自治体の財政状況によって生存権が保護されたりされなかったりするのはあってはならない
 
  • ベーシックインカム 、生活保護は申請しないともらえないのですべての貧困層はカバーできないのですべての人に無条件でもらえるベーシックインカムが合理的
 
  • これの導入により生活保護、基礎年金、雇用保険、児童手当など、多くの社会保障制度を簡素化できる
 
  • 失業の証明、資産の有無、保険料の支払いを促すこともしなくていい→事務管理コスト低め
 
  • 相続税率の引上げ、遺産の有無と大きさの格差は人生の初期条件を大きく左右する
 
  • 教育機会の平等の確保、奨学金制度の給付型での大幅拡充→大学教育により恩恵を受けた人に対する税・大学教育税の制度
 
  • もう一つ、大卒者を雇用する企業に対する課税
 
  • 階級格差が小さなものになり階級をえらぶ自由がある社会へ。階級格差が大きく社会構造の中心に位置している階級社会より望ましい形へ
 
  • マルクス以来の左翼思想の伝統では社会を変革する主体は労働者階級→日本の労働者階級は社会に対する不満や格差に批判的だが政治への関心は低い
 
  • アンダークラスもまた政治への関心薄い
 
  • 格差社会の克服という一点で弱者(貧困層)とリベラル派を結集する政治勢力の形成が望まれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合わせて読むと理解がふかまります

 

橘 玲 著 上級国民/下級国民を・・・・