家出して一週間が経った頃。






そして、実家に行くとの
メールの翌日。







モラ夫は、少し暗くなり始める
時間帯に、私の実家に来ました。




「こんにちはーモラ夫でーす。」




と、軽いノリで。





私は、まだ直接モラ夫と話せる
ような精神状態ではありません
でしたので、





別室で、待機していました。





なので、このときは父と母が対応
してくれました。





「すいません急に来てー。
連絡しても全然とってくれなくて。





こっちはなんのこっちゃ
よくわからんので。」






ははっ、と笑う、モラ夫。





私の父と母と、モラ夫が話すのを、






私は息を潜めて、聞き耳を立てます。





父が、モラ夫を家に通したとき。





玄関から、モラ夫が入ってきて、
私との距離が狭まったとき。





心臓を掴まれたようでした。





モラ夫が近づいてくるのが、
怖くて、苦しかったです。





心臓の音が、うるさくて。





モラ夫に、聞こえてしまうの
ではないか。





手汗が滲みます。




こっちの部屋には、来ない
はずだから。





と、震える手を抑えながら、






動悸で息苦しくなった呼吸を
整えながら、





自分に言い聞かせます。






父がモラ夫に、改めて要件を尋ね
ました。






モラ夫は、答えます。






「夫婦として、喧嘩をしたので。






連絡もつかないし、




このままじゃどうしようもないわな、
ってことで足を運んできました。」





なぜ、こんなにも上から目線なの
でしょうか。





嫁がワガママで出て行って、





よくわからないけど、





遠くからはるばる迎えに来てやった。





まるで、そう言わんばかりの態度です。





喧嘩の内容について父が聞くと、






モラ夫はペラペラと、
得意の話術を披露します。






長いので要約しながら書くと、





「きょうだいが帰省していて、





バーベキューに誘ったけど、
ふふむが乗り気じゃなかった。




じゃあ、行くのやめようと思って、




実家に断りに行こうとした。




そうしたら、ふふむから
電話すればいいじゃないかと言われ、




帰り道なんだから、寄って話するの
が当然でしょうと。




マザコンファザコンとか、




一生実家帰るなとかそういうことを
(ふふむから)言われて、




俺は親と金銭的なやりとりをしてる
わけではないし、





元気な顔を見せるのは親孝行だと
思っているから、俺は曲げないと。





俺には親と関わるなと言いつつ、





自分は泣きながら親に電話して、





実家に逃げるように帰って、





何の解決にもならないじゃんって。」





という主張でした。






私は翌日のバーベキューについては、





渋々ながら、了承していました。



 

この日の義実家訪問理由は、





「断りに行くため」という理由
では、なかったはずなのです。





嘘を、ついている。





ひげそりを取りに行く。




バーベキューの、時間を調整する。




きょうだいに、会いに行く。




これが、訪問理由だったはずでした。





バーベキューを断りに行く、
なんて、一切聞いていないのです。




また、一生実家に帰るな、なんて、





親と仲違いしたわけでもないのに、





そんな非現実的なこと、






思ってもいないのに、言うはずが
ありません。





言いたいことが、たくさんありました。





誠実な人なのだと、信じていた夫。





平然と嘘をつく姿を、





初めて目の当たりにした私は、





怒り、呆れ、失望、嫌悪、不信感。





やりきれない思いに押しつぶされそう
でした。




続きます。





お読みいただき、ありがとう
ございます。