今回初めて経験したことなのだが、私の相棒であるコーパイ君は名前の通りまだco-pilotであるため右席でしか操縦ができない。つまり彼は(PICではなく)SICとして訓練を受けるということで、PICである私は常に左席で自分の訓練及び彼のためのPM業務を行うという変則形で行うこととなっていた(PIC二人で行う訓練の場合、前半と後半で席を交代する)。ガルフストリームの訓練を受けに来るパイロットはほとんどがPIC資格を持っている者であるらしく、教官もこの訓練方式に戸惑っているような感じだった。
コーパイ君は彼のキャリアのほとんどを中国で過ごしていたことと、ほとんど英語の運航にかかわってこなかった老齢の中国人キャプテンたちと飛んできていたため英語に関してやはりハンディを背負っている感じだった。
また彼は大型ジェット機の経験がなくこのガルフストリームG550が彼の生涯で一番大きくて複雑な航空機ということになるので、その仕組みを理解するのも苦労しているようだった。
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私は彼と比べて経験が多いからといって訓練が簡単だったわけではない。なぜならこのガルフストリームG550という航空機はある程度の経験を有するパイロット用に設計されている(つまり飛行時間で200~300時間しかないジュニアパイロットには向かない)なあ、とところどころで感じていたからだ。
いくつか挙げると、例えば
1. スイッチ類に統一感がない。押したらON、再び押して飛び出したらOFFという単純なスイッチばかりではないので(つまり押しているのにOFF表示のスイッチがあったりする)、その都度のフェーズで正しいスイッチポジションなのかを考えなくてはならない(回数をこなすと覚えてしまうが)。
2. 何か故障が発生した時に表示されるCAS(crew alerting system)メッセージがやたらと多い。そのメッセージ名とabnormal checklistの名前が完全に一致しないため、パイロットが総合的に判断してどのchecklistを適用するのか決めることになる。
3. 四面の綺麗なLEDパネルの印象につられて自動化が進んでいるようにみえるのだが、その裏側のシステムでは意外と自動化が進んでおらずパイロットのアクションが必要なものがあり、忘れやミスを誘発しやすいものがある。
4. FMSからのデータで飛ぶことに最適化されたシステムになっており(一番シンプルなのがLPV approach)、ILSやVORなどのraw dataを使ってのapproachでは設定にひと手間が必要になっている。FMSに対する概念の理解を必要とする。
5. そして、そもそも訓練の時間が短い!
なんかネガティブなことを書いてしまったようであるが、よく言うとするならば「選ばれたパイロットのために作られた航空機」ということもできるわけだ。
選ばれたパイロットの我々であったのだが(笑)、やはりこのキチキチな訓練スケジュールでは時間が足らず教官の判断で追加のレッスンをすることになった。ついていけない自分にショックではあったが、航空機に触るためのより多くの機会を与えられたのだ、と気を取り直して取り組むことにした。
いままで課目を終わらせるために急かされていたのだが、時間的な余裕ができたとたん逆に訓練効率が上がってより学ぶことができるようになってきていた。やはりある程度の余裕って大事なんだね。
(あとで聞いたのだが、グランドスクールの時のクラスメート数名もやはり追加レッスンをしていたんだそうだ.....)
つづく
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