実際の訓練はどのようなことをするのであろうか?
基本編成は訓練生2名と教官1名。
訓練生Aが左席に、教官は右席に座る。その間訓練生Bはその後ろにあるオブザーバー席に座る。コックピットには特別にビデオカメラが設置されており、訓練中はずーっと録画しておく(訓練生Bがその操作を行う)。この映像は監視のためとかではなくて、訓練終了後我々訓練生が自分のフライトがどうだったかを映像を見ながらレビューをするのに使うものだ。
飛行時間は約2時間。訓練生Aが左席で1時間、訓練生Bが左席で1時間操縦にあたる。
教官は右席に座り操縦の指導に当たるのはもちろん、安全に対しても気を配らなくてはならない。これはシミュレーターではないのだ。何か事故が起きたりすると命に係わるのだ。ましてや左席に座っているのはまだまだ若造の訓練生、何をしでかすか分かったものじゃない。教官もかなりきつい仕事だったと思う。
そしてシミュレーターではできなかったこと。実際のジェット機の外部点検や、実際の客室、緊急事態に使用する道具等を実際に目で見て、触ってみる。これが本当に貴重な体験だった。
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シミュレーターはよくできていたとは言っても、やはりそこは実機の臨場感が完全に再現できているわけではない。実機においてはその重力加速度(G)が作り出す感覚や滑走路の見え方の立体感、接地するときの感覚、毎回変わる天気の変化・風の変化をどのようにフライトに生かすのか、ということをここでは学んでいく。
着陸回数は1時間のフライトの間に5回から10回行われた。
課目としては基本的に第9話でお話した計器進入、VFRトラフィックパターン、周回進入を行うのであるが、その中に唯一の緊急時を模した課目である
離陸時の1エンジン不作動
1エンジン不作動の着陸
1エンジン不作動での着陸復行(ゴーアラウンド)
を織り交ぜていく。
1エンジン不作動は実際にエンジンを止めるわけではなく、右席に座っている教官が片方のスロットルレバーをアイドルまで絞る方法をとる。
片側のエンジンを絞ると飛行機の方向を保つためにそれとは反対側のラダーペダルを踏まなくてはならないのであるが、訓練生が間違った方のラダーペダルを踏んでも影響がないように教官が右席でラダーペダルを自分の足で停めておく(間違った方のラダーペダルが踏まれると墜落事故につながるため)。教官も神経をとがらせていなくてはならない訓練なのだ。
教官は前半6レッスンと後半5レッスンで交代する。そして11回のレッスンが終了するといよいよ航空局審査官によるJCABチェックを迎えることになる。
つづく
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