前回は次女を保育所へ入れることにまんまと成功し、
整体師としてスタートしたお話でした。

 

 

 

 

オープンから数ヶ月たち、
私も仲間たちも、
だいぶ日々の業務に慣れてきた頃から
オープン当初の慌ただしさはなくなりました。


”店舗前でチラシを撒く”という業務が
徐々に増え始めたのもこの頃。


新しくできた
大きなテナントがたくさん入る
商業施設の客足が徐々に減るのは
当たり前の話で、

しかも郊外のお店は、
平日なんてどこもガラあきなのは
誰もが知ってること。

私みたいに人混みが嫌いな人が
こういう時期を狙って
わざわざ見に行ってみる・・・

そんな時期。

通路を歩いているのは、
おひとりさまが多いから

まさしくそんな人種(笑)


チラシは断れないから受け取る。
そのチラシを見ていいなーと、
一瞬思うけど、

奥をチラッと覗くと
施術してるお客さんよりも
従業員の方がたくさんいる・・・・

そんな場所には、
なかなか足を踏み入れられないのも
この人種。

いわゆるHSPっぽい、ひとみしりっぽい
そんな人種。

チラシを配りながらも

”わかるー、わかりすぎるー、
私でも入らないし、
なんなら少し忙しそうで、
構ってくれない方が全然心地いいもん”


そんなふうに思いながら、
絶対に入ってこなさそうな人しか
通らない店舗の前でチラシを配ってた。


そんななかなか売り上げの上がらない
状況がしばらく続く。


もちろん私たちが
お客さんに接する時間も減った。


この整体の本店の偉い人たちや
社長が何度か店舗内や、
どのように営業しているのかなど
チェックしにきていた。


そして、数日後、
その日は突然やってきた。



一番若いバイトの女の子が
シフトの入ってない日の
開店からしばらく経った時間に
泣きながらやってきた。


相変わらずお客さんのいない店舗で
いつお客さんが来てもいいように

タオルなどを整えていた
その日の出勤者みんなで
何事かと、話を聞いた。


その女の子の元に
書留で郵便物が届いていたと言う。

それは・・・

簡単に言うと
クビを告げる会社の上層部からの手紙。

その女の子は
勤務態度が悪いわけでも
技術がダメなわけでも
接客がダメなわけでも

なんでもない、

真面目に一生懸命に仕事に真摯に
向き合ってやっていただけだ。

それはその場にいた全員がわかっていた。


少しだけこの会社の性質を知っている
今まで他店舗で働いていたという2人が

内部のこと、
そして今回のこの新店舗への期待の話を
教えてくれた。


どうやらこんなに大きな商業施設だから
お客さんが殺到し、
従業員が不足するだろう、

そんな読みが外れたのだと。。。。

しかも、私たち新店舗のバイトの時給は
今までにない高額。

それくらいしないと集まらないと思っていたのだろう。


それで、
産後まもない乳幼児のいる
私のような主婦まで
無条件で高時給で雇ってしまったってわけだ。


まず手始めに、
人生経験の少ない文句を言わなそうな
若い女の子から”クビ”を言い渡す・・・


最高にブラック企業だ。


話を理解して、
若い子も、主婦たちも、おっさん整体師も
みんな絶句した。

そして、察した。

郵送で”クビ”を言い渡す
懐かしの言葉で言うと不幸の手紙

それが全員の元に届くな、って。


その手紙が来ないのは、
店長と副店長を任されている

他店舗から来た女の子たちだろうと。


数日経って・・・・
予想通りきた。

私のところにも。。。。

文面は実は覚えてない。


あまり見たくない内容って
本当に記憶に全く残らないんだなーと
今だからこそ笑える。


でもやっぱり、
若い女の子が泣いていた気持ちも
すごくわかった。だって同じ気持ちになったもん。


自分を全否定されたような
生きてる資格はまるでなし、
みたいな

そんな気持ちになるあれは

やっぱりね、「不幸の手紙」だと思った。


その後、
上層部の中でも下っ端の役職の人たちが
数日来ていて、
みんなの話を変わるがわる聞いてくれていた。


主に他店舗へ移動しないか?という話。
もちろん時給は下がる。


10名近くいた
新しくこの店舗で出会った仲間たち、

他店舗へ移る話を承諾した人、

この会社のダークな部分を知って
別な道を選んだ人、

さまざまだった。。。


私も同様の話で
家から一番近い店舗を
こちらから口にすると

そこは独立した店舗だから
会社の体制とは全く違うとの話。


ただ、ちょうどその話をしてくれた
上層部の下っ端の役職の人が
一緒に働いていたことがあるとのことで

その場で連絡をしてくれて
ラッキーなことに雇ってもらえることになった。


高校生の時にバイトしていた
スーパーの中の店舗。

毎日ではないけど、
週に2~3日という話でまとまった。


まだ整体の仕事をしてみたい。

そんな私の思いがほんの一瞬で
なぜか叶った。


せっかく仲良くなった仲間たちと
もっといろんな話をしてみたかったけど

それは叶うことなく

みんなお互いに違う道へと進むのだ。


1年も経ってなかったと思う整体師第1幕は
不幸の手紙によって
強制的に幕を引かれ、

整体師の第2幕が始まる。


次へ続く