本当は軽いノリの食レポのつもりだったけど

 

 

田舎を好む田舎者が 三日間も東京に滞在すると とんでもなく色々思うことが膨らんでしまい

 

どこから手をつければいいやらというくらいなので また追々綴って行こうと思います。

 

 

 

 

その前に 今回の旅行で最も刺激的だったのは ブログに来ていただいている方から せっかくこの辺に来るのだからと 一件目のカレー屋へのお誘いがありまして 初のプチ”オフ会”となりました。ゲラゲラ

 

 

 

 

 

夜行バスが出る日曜の夜が 強烈な雨で降り尽くしてくれたおかげで 翌日の9時過ぎ以降はずっと降ることがなく 非常に天気には恵まれたなと思いました。

 

 

 

計算外だったのは 始発とJR駅の開構が5:45という バスの到着からかなり後だったので 雨で寒い中、膠着を強いられたことでしたね。無気力

 

 

 

 

 

バスは新宿に着いたので とりあえずレンタサイクルのポートがある池袋に向かい 8時から営業のカフェで コーヒーの飲み比べをする。

 

(レンタサイクルは24h営業だけど 1件目のパン屋が11時オープンなので ここで寛いでいた。)

 

時間潰しではなく コーヒーを堪能するためにスケジュールに組み込んだ一軒。

 

(エスプレッソはどんな豆を使っていたのか分からないけど ”塩味”のようなものを強く感じた。 苦味の強いノーマルな方が好きなのと 店員さんがドライな感じ以外はまあまあ悪くなかった。)

 

 

 

 

東京のレンタサイクルは その坂の多さに対応してか 電動タイプが基本になっているのだけど 長時間走るのに対し どこまで充電が持ってくれるか分からないのと

 

切れたら地獄で身動きが取れなくなるというのがネックなので 電動でない普通のタイプを探したら ”PIPPA”という会社だけが扱っていた。

 

 

(池袋駅から30分ほど南の”雑司ヶ谷霊園”という巨大な墓地の近くにポートがあった。  雑司ヶ谷なんて京極夏彦の『姑獲鳥の夏』の舞台であること以外、知識はなかったのだけど 入り組んで起伏の激しい土地にくまなく建て尽くされた古い家々の様子は フラッと寄っただけにしては見ごたえのあるものだった。)

 

 

廃品回収かと思うほど 目立たない所に格納された自転車のポート。

 

ネット時代でなければ100%使われないであろう場所。

 

 

 

そのポートの横に 朝からメロンパン専門店が非常に悩ましく良い匂いを漂わせていた。

 

 

いや、冷静に見れば こういうのは地元にもあるし これのためにこんなところまで出てきた訳じゃない。

 

 

 

自分の胃は小さい。  どうせ食べなくても動ける身体なのだから 目的のもの以外は徹底的に無視するのだ。

 

 

 

 

 

一軒目のパン屋『シニフィアンシニフィエ』は世田谷にある。

 

 

伝説のパン職人 志賀勝栄氏は発酵生地の”タネ起こし”が主な仕事なので もともとパン工房で作業はしていないという。

 

 

 

強烈に重い荷物を背負い 都内の急なアップダウンを走ること1時間  ー  ついに到着。

 

 

思ったよりもこぢんまりとかまえられたお店。

 

 

 

 

世の中 巧いパン職人は大勢みえると思うけど それでもこことそれ以外を大きく分けるとしたら

 

それは発酵生地の”多様さ”と言えるだろう。

 

 

(興味のある人はご参考ください。 本来、パンの発祥は練った小麦が自然に発酵されたものなので風味が強く 世間の多くのパン屋のように3~4時間程度の発酵時間しか置かないのは ただパンを膨らませるためだけの目的であって そのペラペラの薄い味はパンとは呼べないレベルのものばかりだ。

 

伝説の職人 志賀勝栄氏は日本でも最多のタネを駆使して 多様な風味の生地を生み出している。 よく練られたアイデアで季節限定の商品も定期的に登場する。)

 

↓ そもそも発酵とは について。

 

 

 

 

こちらでは 小さいサイズのパンはなく 大きく焼いたものを切り売りする形式になっている。

 

 

 

たくさん種類を買っても 食べきれないのが困るなと思っていたら 小さく切ったものを数種類入れたセットがあったので非常にありがたかった。

 

 

買えるだけ買うと 目と鼻の先にある世田谷公園まで移動して ベンチを確保して早速いただいた。

 

 

 

 

この旅行の目玉でもあり レジェンド志賀勝栄氏を象徴する 『40時間発酵のバゲット』。

 

 

 

これは高級食パン系が好きな人には 全く好まれないというか 高いお金を出してまで買わないだろうけど 

 

熟成香を放つ 噛むほど旨い生地は”何か”を付けるのがもったいなくなるほど。

 

 

 

 

2時間ほど寛ぎ 500mlのワインをほぼほぼ開けてしまった。

 

 

 

そこでアクシデントが起こった。

 

 

 

噛んでいる途中で ガリっと石のような異物 それも特大が当たった。

 

 

 

どうやらセラミックの歯が外れてしまったようだ。

 

 

 

まあ、バゲット固いし しゃーないわな、、、。無気力

 

 

 

 

教則本にも載っていた超ハイコストな一品。

 

 

バゲットのハーフくらいのサイズで¥3000くらい。

 

 

肉料理なんかよりも赤ワインに合うし 満足度が高い。

かなり濃厚なのでチビチビいただいた。

 

 

 

 

 

同じく教則本で謎だった シンプルだけどもの凄い”高加水”でしっとりした口当たりの”チャバタ”。

 

 

 

 

 

なんと 生地に味噌を練り込んである。

 

 

いかにも味噌と主張せず じんわり出てくるあたりが奥ゆかしい。

 

 

自分でも作ってみたい。

以前、たこ焼きを作った時に 生地に味噌を練り込んだのを思い出した。

 

 

 

 

ふと気が付くと 

 

 

 

 

足元にハトが寄ってきていた。

 

 

 

誰がやるかい。

 

 

このパン幾らするか分かってんのか? 自分らはヤマザキパンでも分けてもらえ。

 

 

 

 

バゲットに近い生地のスウィーツ系。 こういうのを上手い具合にセットに入れてくれてある。

 

 

 

 

 

全粒粉の多い配合で 食事に合わせるタイプ。

 

帰ってから、家で作ったトマトソースとかに合わせると 自分のパンよりも丁度いい軽さだった。

 

 

 

 

雑穀の入ったドイツパン風。 雑穀の触感と 意外にもしっとりとした生地は地味にそのままが一番美味い。

 

 

 

 

もっと多く買っておけば良かったと後悔したのが こちらのブリオッシュ。

 

 

 

 

生まれてこの方 こんなかぐわしい香りは初めてというくらい濃厚で 一口で異次元に突き抜けるほど美味かった。

 

 

 

 

塩漬けの豆のようなものがアクセントになって ほんのりとした甘さとバターの香りの中に 時折りフックを入れてくる。

 

甘みを引き立てる塩味か、、、。 これは大きな発見だった。  また再現してみたい。

 

 

 

『一生食べ続けるなら?』と聞かれたら 迷わずコレといえるものを更新した。

 

 

 

 

雨上がりでやや肌寒い中 2時間ほど座ってワインを飲みながら食べ比べをしていた。

 

 

ロケーションはこないだの海には遥か及ばないけど ここまで時間をかけたことに対する十分なリターンが さらに満足度を押し上げた。

 

(さっきのメロンパンを買わなくて良かった)

 

 

 

ところで

 

 

 

”40時間発酵のバゲット”は 1本¥770なので その他のパンも価格は比例すると考えていい。

 

 

この価格は一般的なパン屋の価格からすると とんでもないように思えるだろうけど 彼らが考え、やっていることを思えば 安すぎるくらいと言える。

 

 

 

 

たとえば寿司なら おまかせで¥5000の店もあれば ¥30000~50000の店もあり 10倍の開きに対し特別異論が挟まれることはない。

 

 

 

¥30000の店は使う魚がそもそも高いので値段に反映されるので 当然といえば当然だけど

パン屋の小麦が数倍違うかというとそうではない。

 

 

 

 

パンの価格に高い安いがあるのは 生地を長時間熟成するための”場所代”と言える。

 

 

 

私が自宅で生地を8時に練って 翌朝8時前後に『なんとなくこんなもんでいいかな』と焼き始めるのと違い

 

彼らは厳密な生産ラインがあり 発酵器で長時間管理しないといけないので 時間が長ければ長いほど生産性は減る。

 

 

 

それが価格に反映されるのは当たり前のことで 逆にスーパーの中にあるような大量生産のパン屋は そこそこの価格なのに熟成時間が皆無で 

 

多量のイーストで膨らませただけの 砂糖がなければ味がペラペラのパンの方が 割高と言えるんじゃないだろうか?

 

 

 

 

焼き加減は同じくらい大事だけど 小麦の種類よりも何よりも 発酵の良し悪しがパンの美味さを左右するのであって

手で捏ねたから美味いなんてことは絶対にない。

 

 

 

 

と、そこでまた気が付くと、、、

 

 

 

 

 

ハトに取り囲まれていた。

 

 

 

こいつら 人のパンを狙いやがって。

 

 

 

ヒッチコックの映画『鳥』を視た時は 『たかだか鳥やろ?』と思ったけど 

 

実際に自分の周囲だけこれだけいると 酔いが醒める感じだった。

 

 

 

 

なんか文句あんのか物申す