平成19年に施行された改正医療法を受け、医療計画の下、地域の中で保健福祉医療サービスが完結できるよう主要な4疾病5事業ごとに数値目標を設定し、適切な医療サービスが切れ目なく提供されることになりました。

4疾病とは「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」を指します。がん、脳卒中、心疾患は日本人の死因の1~3位で、疾病による死亡原因の約6 割を占めます。糖尿病は、合併症の要因となるうえ、脳卒中や心疾患などの危険因子ともなります。いずれについても、早期発見や予防・生活習慣の改善が重視されており、当グループも得に力を注いでおります。

5事業は、「救急医療」「災害医療」「へき地医療」「周産期医療」「小児救急を含む小児医療」を指します。近年、医師不足や救急医療の崩壊など、ほころびが生じている医療体制を強化し、安全で安心な生活を送るためのセーフティーネットワークを再構築するのが狙いです。

当グループでは、康生会武田病院、医仁会武田総合病院が特に高度急性期医療に特化しており、さらにグループ10病院をあげ、地域セーフティネットの充実に努力しています。
4疾病5事業ごとの医療体制構築の考え方も提示。例えば急性心筋梗塞では、▽予防 ▽発症直後の救護・搬送 ▽診断 ▽急性期段階の治療 ▽心臓リハビリテーション ▽急性期以後の医療・在宅療養―のステージごとに、医療機関に求められる役割などを示した。

このうち急性期を担う医療機関の役割としては、▽患者の来院後30分以内に専門的な治療を開始する ▽合併症や再発の予防、在宅復帰のための心臓リハビリテーションを実施する ▽再発予防の定期的専門的検査を実施する―の3点を挙げた。これらの役割を担うため、心電図検査や血液性化学検査、心臓超音波検査などに24時間対応できる体制の確保を求めている。

疾病・事業ごとの連携構築は地域ごとに優先順位をつけて推進する。ただ指針では、脳卒中について「医療と介護・福祉の緊密な連携が求められる典型的な疾病」と指摘し、連携構築のための具体的な方策を年度内にとるよう求めた。
都道府県による新しい医療計画が2008年度からスタートするのを受けて厚生労働省は、計画の作成指針を7月20日付けで通知した。がんや脳卒中、急性心筋梗塞、災害時医療などの疾病・事業ごとの医療連携を進める上で、目指すべき方向や構築の具体的な手順を提示。さらに、疾病や事業ごとの医療体制構築の考え方も示した。急性心筋梗塞の医療連携の中で急性期を担う医療機関の役割としては、患者の来院後30分以内に専門的な治療を開始することなどを挙げている。

08年度から始まる都道府県ごとの新しい医療計画は、がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病の4疾病と、救急・災害時・へき地・周産期・小児医療の5事業ごとに構築する医療連携が柱。今回まとまった作成指針では、予防から維持期までのステージごとに必要になる医療機能を4疾病5事業ごとに明らかにした上で、それぞれの医療機能を担う医療機関の名称を計画に記載するよう都道府県に求めた。

連携の中で、各医療機能を担う医療機関は、疾病・事業ごとの「作業部会」で検討することとし、作業部会に加わるメンバーとしては、医師会関係者や歯科医師、薬剤師、看護師、介護保険サービス事業者、住民・患者などを例示している。