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初めての方は注意事項に目を通してからお読みください
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病院での診断の結果、太りすぎで糖尿病になる可能性も指摘された父親。

少しは運動もするようにということで、翌日のこの日は歯医者へ歩いて行った。

徒歩で片道12~13分。

老いて歩みの遅くなった父親にも、ちょうど歩いて行けるぐらいの距離である。




ところが、歯医者から帰宅後、母親と昼食をとってから父親の姿が見えない。

17時……、18時……。

数回に渡り母親が部屋などを見に行くも、どこにもいない。

車もない。


今の時期は日が暮れるのが早いので、もう外は真っ暗である。

温度も氷点下。

路面も凍結してツルツルしてるのに、徒歩はおろか車なんて運転させられない。

それでなくても車は傷だらけで、相当危ない運転をしているのだから。




母親と夕飯準備をしながら気にかけるも、それからも父親が帰ってきた様子はない。

母親によると、14時くらいに母親と昼食を食べた後外出したのではないかということ。

近所の甲本さんの家に行く話をしていたので、甲本さんの家に行った後、マッサージにでも寄ったのではないかと推測。


因みに、携帯電話などは、操作が覚えられない上に紛失の可能性が高いので、持たせていない。


「おやじのことだから、まだ甲本さん家にいるってことはないの?」と問うが、

「いや、それはないわ」と母親は全力で否定。

まぁ、さすがにないか。




19時ちょうど。

夕飯も出来たので、母親は甲本さんの家に電話してみることに。

父親が何時に甲本さんの家を出たかわかれば、マッサージに寄って帰宅する時間もおおよそ見当がつく。


電話は甲本さんの奥さんが出て、一通り挨拶を終えると少々お待ちくださいとのこと。

しばし待った母親の次の言葉に、俺は吹き出してしまった。


「お父さん!まだお邪魔してるの?」


父親、まだ、いたし……。

まさかと思った俺の予想が当たってしまった(苦笑)。




やっと帰宅した父親に話を聞くと、先に甲本さんの家に行ったのではなく、マッサージの後に寄ったらしい。

もう完全に日が暮れた、17:30を過ぎた頃にである。


「甲本さんの家、もう晩御飯じゃないの?」

「もう、食べ終わってた!」

……偉そうに言うなよ。

「帰れって言われただろ?」

「いや、言われない」

そんなわけはない。

「お宅は夕飯じゃないんですか?」は帰れって意味だ。




親しい友人宅とかならまだわかるのだが、父親に友達はいない。

子供の頃、父親というのは友達がいないものなんだと思っていたくらい、俺は一度も父親の友人を見たことがない。


彼は、何かの折に同席するような知り合いはいても、友人という関係は築けないのだと思う。

アスペルガーでも色々だが、感情の共有が出来ないアスペルガーには、友達は存在しないのだろう。

友達とは何かもわかっていないだろうし、となると、その関係を感じることも出来ない。

本人が知りたいとも思っていない以上、理解させることはもはや不可能だ。




常識的に考えて、よそのお宅にお邪魔するのは明るいうち。

それ以外の外出も、自分の力を考えたら寒くも暗くもならないうちに。

母親と俺は当然のようにそう思っていたのだが、父親にはその判断力さえなかったようだ。


無茶をして失敗するところまでは老化だろうが、失敗を失敗と思えないのはアスペルガーの気質か。

自ら痛い思いをしても全く懲りないので、何度でも同じ失敗を繰り返す。

記憶もおかしいのか、またやってしまったとショックを受けることもない。

いつも「予想外の不運に出くわして、避けようがなかった」という主張をする。

全くそんなことはないのだが……。




「早く着替えてご飯食べなさいね!」

「わかった!」

こんなときでも偉そうな父親。

得意の、わかってないのにわかった発言。

「わかったでないでしょ!こんな時間まで恥ずかしいね……」


まさか父親がいるとは思っていなかった母親は、甲本さんの奥さんにしれっと挨拶してしまった恥ずかしさで、一杯になっていた。

そんな母親に白い目で見られながら怒られても、これっぽっちも恥ずかしいと思っていない父親。

甲本さんに迷惑がられたかもしれないとか、家族が心配しているかもしれないなどとは、考えもしないのだろう。

ならば、一昨日のウンコ事件から我々に怒りが蓄積されていることなど、知る由もない。




父親の足でも、マッサージ屋は徒歩20分。

甲本さん宅は徒歩7~8分。

車で行く必要などない。

今朝の話なのに、なぜ歯医者に歩いていくことにしたのか、もう父親の頭には残っていないようだ。


デブは歩け!暗くなって人の家に行くな!と厳重注意をし、車は没収。

外出するのも14時まで。

金もないし友達もいないので、どこかで遊んでくることはない。

ただし、何時までに帰るという約束は一切守れないので、家を出る時間を余裕を持たせて決めることにした。


母親は、父親の下手な言い訳につられてすぐに反故にしてしまうので、車のキーは俺が預かることに。

どんな理屈をこねてもダメなもんはダメ!




そう決めたのだが、翌日にはもう面倒くさいことになる。
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≪今日の記事も汚い話なので要注意!≫




その後(⇒参照)、父親は泌尿器科に通い、風呂で倒れたことから内科や脳神経外科でも検査を受けた。

失禁の自覚がないのは、泌尿器だけでなく脳梗塞の影響もあるのではないかということだった。

それからは、尿をコントロールするための薬を飲んでいるのだが、それでも度々、俺と母親はトラブルに見舞われた。

さすがの父親もおむつをはくことには抵抗を示し、勝手にパンツにはき替えてしまっていたからだ。




発達障害は、羞恥心を学ぶのが遅いと言われる。

父親も恥ずかしいという感覚は極端に疎く、人目は気にしないし、笑われても叱られても直さない。

シャツが出てても上着がシワクチャでも、全然へっちゃらだ。

だから、プライドもほとんどない。

よく言えばカッコつけず素直なのだが、放っておくと常識や人の迷惑を考えず行動する。

そんな父親でも、おむつにはプライドがあるのか。

また、母親に説教されていた。




「お父さん、出掛けるのにおむつはかないとダメだよ」

「ピッタリしなくてダメなんだ」

「ダメったってしょうがないでしょ。外で間に合わなかったら着替えられないんだよ」

「大きすぎるから……」

「じゃあ、Mがいいのかい?お父さんのウエストなら、Lじゃないと入らないよ」

「俺、腹出てる……」

「そうだ。お腹出てるからMは入らないよ」

「尻緩いからMでいいべや」

「だ・か・ら、お尻ピッタリにするったらお腹きつくなるんだよ?はけないでしょ?」

「うん。俺、腹出てるんだ」


腹が出てることだけはわかってるらしい(苦笑)

要は、腹に合わせてLにすれば尻が緩いし、尻に合わせてMにすれば腹がきついのだろう。

どちらかで妥協しなければならないのだが、こういう二つの条件を考えるのは、父親は本当に苦手である。

聞いてると笑えるのだが、やり合う方は本当疲れるのだ。


こりゃプライドよりも、おむつのフィット感の問題なのかもしれないな。




それからは慣れたのか、常におむつをはいて過ごすようになり、これで落ち着いたかに思えた。

しかし、それでもズボンまで染み出していることがあり、吸収回数2回程度から4~5回用に変更。

外出前には必ずトイレに行かせた。

ところが、それでもこんなことが起きた。




ある日の買い物帰りのこと。

先に父親が戻っている車に乗り込むと、車内が異様に臭い。

「オナラしたの?」

「おう!」

おう!じゃなくて、窓くらい開けろ。

俺は、慌てて窓を開けて換気。


しかし、自宅について荷物を下ろすと、今度は部屋中にウンコの臭いが充満している。

父親はそのままトイレに駆け込んだというのに、コートに染みついた臭いのせいで大惨事。

急いで窓を開けた。




ところが、母親と俺で荷物の整理が終わるも、父親はなかなかトイレから出てこない。

また倒れてないか、腹でも痛いのかと心配したが、無事のようだ。


やっと出てくると、おむつを脱いでズボンだけはいて自室へ向かった様子。

まだ臭いが残っているので、父親の着替えは母親に任せ、俺はトイレを掃除することに。

窓を開け、便器と床を拭いて消臭スプレーもするが、まだ臭いが消えない。

臭いと寒さとどっちを我慢するかで、真冬だが窓全開で寒さに耐えることを選択。

かくして、昼から5時間はトイレが冷蔵庫状態で、凍って窓が閉まらなくなるのでやむなく換気終了。

この日は夜遅くまで臭いが消えなかった。




俺がトイレ掃除をしている間、母親は父親にぶちキレていた。

それもそのはず。

ここ数ヵ月、父親のおかげで母親が洗濯する回数は3倍くらいになっているから。


「こんなになるまで気づかなかったの?もう出てたんじゃないの?」

「いや、オナラ出たんだ」

「オナラじゃなくて中身も出たんでしょ!?」

「いや、知ら……」

「こんなにウンコ出てて気づかないわけないよ?いい加減にしなさいね」

「はい!」


昔から、自分の理屈に合わないことはとことん詰問する母親。

お漏らしに気づかない父親の感覚がわからない母親は、そんなはずはないと責め続けるのだが、父親からはまともな答えはなく。

いい加減な父親と正論のみの母親は、見事に噛み合わず修羅場になる(苦笑)。


父親は朝から調子が悪かったのか、腹痛や下痢はあったのか。

ウンコが出たのはわからなくても、出た後には気持ち悪くて気づかないのか。

本当に自覚がないのか言葉にならないのか、それもよくわからない。




母親によると、おむつ、ももひき、ズボン、全てウンコまみれだったようで。

特に白いももひきは色が染まってしまっているので、もう捨てるわとうんざりしていた。


「あんなに出てて気づかないかい?」

「わかんないんじゃないの?」

「いーや、気持ち悪いだろさ」

「まぁ、出たあとは気づきそうだよね」

「そうだ。ももひきべったりして脱げなくなってるんだよ。あれで気づかないかい?」

「鈍いのか、気にしないのか」

「気になるだろさ。もう、はくズボンないよ……」


アスペルガーだからなのか、それ以外にも問題があるのか、何だかよくわからなくなってきた。




ようやっと臭いも消えた深夜0:00。

やっと疲れた一日も終わると思った頃、父親はのんきにシャワーを浴びていた。

そうなると、イライラの溜まっていた母親は当然……、


「何でこんな時間にお風呂入ってるの?」

「いや、ちょっと遅くなったんだ」

「ちょっとでないでしょ!早く入りなさいって言ってるのに」

「わかった!」

「わかった、わかったって、何も言うこと聞いてないでしょ!?」

「いや、聞いてる」

「聞いてるなら何でこんな時間なの!?明日、病院行くんだよ」

「わかってる!」

「わかってないでしょ!人のことバカにして!」


今日ぐらい大人しくしてろよ。

全部、父親のせいなのに……。

ドタバタした空気も、母親の機嫌も、全然感じ取れないアスペルガーって本当におめでたいよ。
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昨年9月に風呂場で倒れてから(参照⇒アスペルガーの父親の、急がず、慌てず、ひと休み)、父親には様々な症状が現れていた。

いや、このトラブル(参照⇒恐ろしいくらい自分に都合よく解釈するアスペルガーの性質②)が8月末なので、少し前から兆候はあったのかもしれない。

というのも、ラーメン屋に行ったこの日も、帰ってきてそれで終わりではなかったからだ。


《今日の記事は汚い話ばかりなので要注意!》




車内に取説がなかったので、俺は取説を片手にもう一度ライトの確認をしようと思った。

そこで父親に車のキーを借りたのだが、その時ちょっと気づくことがあった。

だが、確信が持てなかったのでそのまま車へ。


運転席のドアを開け、座席に目を凝らす。

気のせいではなかったようだ。

恐る恐る座席のお尻が当たる部分を座る。

やはり、じっとりと濡れている。


ライトの確認を早々に済ませ、俺は一旦家へと戻った。




「父ちゃん、お尻大丈夫なの?車のシート濡れてるよ」

「そうか?」


何だか話にならない様子なので母親に報告。

「母ちゃん?父ちゃん、ちょっと着替えさせて。ズボン濡れてるし、運転席もだいぶ濡れてたから」


俺がキーを受けとるときに気づいたのは、ズボンの股間部分の色の違いだった。

どうにも濡れてる感じに見えた。

だけど、父親は気にも止めずソファーに寝転んでいるので、水でもかかったのかと思いたかったが……。




母親が父親のお尻を座ると、案の定ベチャベチャ。

俺は、二人のやりとりを2階で声だけ聞いていた。


「お父さん、ずいぶん濡れてるよ。ちょっと!そこ座らないで」

「そっか?そんなに濡れてるか?」

「濡れてるよ。ズボンもそうだし、ももひきもこんなに濡れててわからないの?」

「……」

「おしっこ出たのわからなかったの?こんなに出たらわかるでしょ!」

「わからん!」

「わからないわけないでしょ!?こんなにベチャベチャで。パンツもももひきもこんなんで、出ちゃったって気づかないのかい!?」

「……」

「帰ってきてトイレ行ったの?」

「行った!」

「トイレ行ったら気づくよ。こんなになるまで何で気づかないの?」

「いや、何ともなかっ……」

「何ともないわけないでしょ!」


父親は母親に責め立てられ、しどろもどろ。

時に開き直ったように、「わからん!」だの「行った!」だの強い口調で答えるから、母親は完全にぶちキレてた。




「おしっこ出てるの全然わかんないのかね?」と不思議そうな母親。

俺「あの感じじゃ気づいてないよな」

母「だけどさ、出ちゃった後もあんなに濡れてて気づかないかい?」

俺「それがおかしいよな。濡れてたら気づくはずなのに、平気でソファーに座ってるしさ」

母「本当さ。全部汚れてしまったしょ」

俺「前から結構あちこち臭かったから、気づかないでズボン乾いちゃったんだろうね」

母「本当に気づかないかい?ももひきもズボンも全部濡れてるんだよ。認めたくないから誤魔化してるんでないかい?」

俺「まぁ、なかったことにしてるのかもしれないけどね。本当にわかんないんでないの?」

母「いや、わかんないはずないだろさ」


わかんないんだよ、アスペルガーだから(苦笑)。


それにしても疑問ではある。

俺「気持ち悪くないのかね?」

母「そうさ、あんなに濡れてたら気持ち悪いよ。全然気にしないって言うか、よく自分で嫌でないね」


尿漏れは泌尿器の問題なのだろう。

だが、下着が濡れても気づかなかったり気持ち悪いとも感じないこと、それから、そのまま座ると椅子に汚れが着くことがわからないのは、発達障害の問題だと思う。
(後にわかることだが、これは認知症の可能性もある)

改めて、何か問題が起きると、アスペルガーの性質はそれを大袈裟にしてしまうと感じた。




母親の話だと、父親は少し前からトイレに間に合わないことがあるらしく、長時間の外出時は薄いおむつをしているとのこと。

で、この日はおむつではなくて惨事となったわけだが、ならば早く言ってほしかった。


俺の記憶では、この1、2週間で、部屋が臭い、父親が臭い、車が臭いということが、相当数あった。

羞恥心などろくにないアスペルガーの父親でも、さすがにこればかりは直接注意するのがはばかられる。

だから、どうしたものかと思っていた。


父親は、毎日ちょっと漏らしては、尿の染み込んだズボンをはき続けていたのだろう。

尿を吸っては乾きを繰り返したため、強烈なアンモニア臭を放っていたのだと思う。

さらにそのままどこでも座るから、汚れと臭いがあちこちに拡散してしまった。




結局、座席は俺が掃除。

後日、下におむつを隠して座布団を敷くことにした。

母親は、父親の下着とソファーシートの洗濯をする羽目に。




「座席は掃除しないと乗れないな」

「じゃあ、暗いから明日でも拭かないとね」


いやいや、あんたも何のんきなこと言ってんだよ。

明日なんて、乾いちゃってまた強烈なアンモニア臭放つことになるんだぞ。


毎朝、鼻をつんざくあの臭い。

朝飯どころじゃないんだから、もう勘弁してほしい。