そんなこともありつつ、お互いになんとかテスト期間を乗り切り、夏休みになった。
普通に一緒にバイトに入ったり、映画を見に行ったりしているうちに、美央の家がお母さんの実家へ旅行へ行く週になった。
前の晩、ひさびさにオレ達は電話をしていた。
『池田さん、それじゃ行ってきますね。何かお土産買ってきますね。』
「あ、そういえば、お母さんってどこ出身なの?」
『え、まだ言ってませんでしたか?ママ、北九州の出身なんです。毎年帰ると長浜ラーメン食べに行くんですよ。』
「だから、ラーメンが好きなんだね。家系とか、東京にいくつもあるいろんなラーメン屋もおいしいけど、やっぱり長浜とんこつが一番だね。」
それは本当にそう思っていた。こってりに見えるスープなども、おいしいものは本当は他のラーメンに比べると薄味だったし、そこがオレも気に入っていた。
『はい!あぁ、ラーメンも池田さんと食べられたらなぁ。。。』
「さすがにその帰省にはついていけないよ」
とオレは苦笑い。
「それじゃ、そのラーメン、お土産がいいな。食べたいし。」
『いいんですか?そんなので。』
「いいよ、お土産もいいけど、早く美央が帰ってきてくれたらそれでオレはいいから。」
『・・・ほんと、私も一緒に行けたらなって思ってます。それに、やっぱりまだ行く気がしないんですよね。。。』
「例の許嫁のかれ?」
『許嫁ってわけじゃないですけど』
「まぁ、今回が最後だって思って、流してきなよ。向こうがどう思っててもまわりはそこまで本気じゃないんだろ?それになにより、お母さんとお父さんだって本気じゃぁないでしょ?」
『もちろん、パパとママは本気じゃないですよ。でも。。。』
美央は本当に嫌らしかった。
「大丈夫、っていうか気にするなって。何かあったら連絡してよ。電話だけど、話聞いてあげるよ。」
『わかりました。』
「それじゃ、気をつけて行ってきてね。オレはその間、バイトしまくって稼いでおくから。それでまたドライブとか行こう」
『やった!今度はどこがいいかなー。』
「じゃ、それ、考えておいて帰ってきたら教えてよ。オレもそれ、楽しみにしておくから。」
『うん、そうする。』
「それじゃ、おやすみね。」
『おやすみなさい。』
そういって、電話を切った。
はてさて、どうしようかな、とオレは考えていた。美央が気になるけど、とりあえず毎日メールはしてみるが、ところどころ携帯が圏外かもしれないとも言っていたので、それもかなり気になる。
それよりも、これまでバイト中心でそこに美央が入ってきて、これまである意味かなり忙しかったが、逆に美央がいないと暇になってしまう。
オレはのちのち、このアンバランスさの危険を知ることになる。
そして、この美央の家族の帰省もひと悶着を起こすことになる。。。