ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 10 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

 

はぁ・・・

吸った息を吐くという動作は普通の呼吸と同じなのに、ため息というのはどうしてこうも暗い気分になるんだろう・・・とその日の朝、シヌは憂鬱な面持ちでお茶を淹れていた。いや、逆か、気分が沈むから、ただの呼吸がため息になってしまう。しかしそれが判っても明るい気分にはなれない。

 

「シヌヒョンがため息なんて珍しいね・・・って、理由も気持ちもよく判るけど。俺が代わりに言おっか?」

 

「いいや、俺が言うよ」

 

墜落事故から二週間。まだテギョンは見つかっていない。

光の見えない報告をアン社長から聞きそれを夜ミニョに伝えるのが年長者であるシヌの役目となっているが、昨夜はそれができなかった。

 

 

 

 

 

三人が帰ってきた時、家の中は暗かった。いつもなら起きて待っているミニョ。もし先に寝たんだとしても家中真っ暗なのはおかしい。ミナムが部屋をのぞいてみたがミニョの姿はなく、三人は顔を見合わせると家中を捜し始めた。

練習室、ピアノ室、一階のシャワールーム。リビング、キッチン、ぬいぐるみ部屋、音楽鑑賞室、テラス、屋上。

しかしどこにもミニョはおらず、ジェルミの目にうっすらと涙がにじみ出てきた時、そういえばまだあそこは捜してなかったとドアを開けたテギョンの部屋でミニョを見つけた。

ミニョはベッドで眠っていた。まぶたは赤く、頬には涙の痕が幾筋もあり、しっかりとぬいぐるみを抱きしめて眠っているミニョ。そのぬいぐるみがテジトッキという名前で、テギョンとミニョにとって特別な意味を持つものだということは三人も知っていた。その姿を見た瞬間、ジェルミの目から涙がこぼれ落ちた。

 

「ずいぶん泣いたみたいだな」

 

「俺たちの前では気を張ってるんだろう」

 

「くっ・・・ミニョがかわいそうだよ」

 

テギョンの夢でも見ているんだろうか、穏やかな顔で眠るミニョに三人は胸を痛めた。

 

 

 

 

 

ミニョが起きてきたら昨夜できなかった報告をしなければならない。たとえ前日と同じ内容でも・・・

そう思うと気が重かった。テジトッキを抱きしめテギョンのベッドで眠るミニョを見てしまったから尚更。

シヌはお茶をひと口飲み、暗く重い息を長く吐いた。

 

「おはようございます。ごめんなさい、昨日はいつの間にか寝ちゃったみたいで」

 

シヌのため息がミナムとジェルミにも伝染し、三人が無言でため息をついていると、ミニョが慌てた様子で二階から下りてきた。

 

「寝坊もしちゃったし・・・」

 

朝ご飯作れなくてごめんなさいと、しゅんとした顔で駆け下りてきたミニョはどこか昨日までとは違って見えた。

昨日までは笑顔を見せていても心の中を映し出す瞳は精彩に欠け陰りがあったのに、今はそこにわずかだが光が戻ったように見える。それはシヌの観察眼からそう思っただけだったが、他の二人にもはっきりと判る変化はミニョの腕の中にぬいぐるみがいたことだった。

ミニョはまるで小さな子どもがお気に入りのぬいぐるみを持ち歩くかのように、大事にテジトッキを抱えていた。

 

「気にしなくていいよ、たまには俺の作ったご飯食べて」

 

「わぁ、おいしそう。昨日寝ちゃったからご飯食べてなくて、起きたらすごくお腹すいてたんです」

 

「おかわりあるから」

 

「いただきます」

 

テーブルの上を見て顔を輝かせたミニョはテジトッキを壊れ物でも扱うかのようにそっと自分の隣に座らせると、そのテジトッキに向かって話しかけた。

 

「オッパも食べますか?」

 

三人がミニョを振り返った。

 

「この身体でどうやって食べろと言うんだ?」

 

「それもそうですね」

 

「それに腹はへらないみたいだから大丈夫だ」

 

「便利なんですね。じゃあ私がオッパの分も食べます」

 

「俺の分じゃなくてもいつもたくさん食べてるだろ」

 

「そんなことないですよ」

 

ニコニコしながらスプーンを口に運ぶミニョ。

三人はその様子をぎょっとした顔で見ていた。それはミニョが話しかけている相手がぬいぐるみだったから。そしてただ話しかけているだけでなく、ぬいぐるみをオッパと呼び、そこに向けられている眼差しはまぎれもなくテギョンを見ている時の目だったから。

三人は顔を見合わせた。お互いの顔には動揺の色がはっきりと浮かんでいる。

ミニョにはぬいぐるみがテギョンに見えていて、そのテギョンと会話をしているのか・・・?

 

「ねえミニョ・・・誰と、話してるの?」

 

他の二人が聞けずにいることをジェルミが聞いた。

 

「あの・・・すぐには信じられないと思うんですけど・・・この子はオッパなんです。私も昨日声をかけられた時はすごく驚きました」

 

「こんなこと普通じゃないし、ありえないとは思うが現実だ。みんなも受け入れてくれ」

 

ほんと、びっくりしたんですよとテジトッキに話しかけ、その後も何やらテジトッキと会話を続けているミニョを、うろたえた六つの目が見つめる。

三人にはテギョンの声は聞こえていなかった。

 

 

 

。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。
 

 

 

やったー、やっと10になったー

 

て、お話のことじゃなくて・・・

ランキングポイントのことです💦

 

 

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やったー😆

 

 

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