日蝕 40 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

 

それは俺がずっとずっと聞きたかった言葉。

だけどあまりにも強く望んでいたからだろうか、素直に喜ぶ俺と、幻聴かもと一瞬躊躇する俺がいた。


「信じられないな・・・」


独り言のように呟いたが、拒絶されたと思ったのか、俺の言葉にミニョの表情が凍りついた。それは本当に何というか、悲愴感漂う顔で。

でも今の俺はそれを一瞬で吹き飛ばす言葉を知っている。


「嬉しくて・・・まるで夢でも見てるみたいだ」


「夢じゃないですよ」


目に涙をためていたミニョの顔に笑みが浮かんだ。


実際に俺が見たのは、シヌと2人で去って行く夢だったから、たとえこれが夢だとしてもかなりの進歩だ。だけど夢なら覚めないで欲しいなんて思ったりしない。もしこれが夢なら、こうしている時間がもったいない。そんなものにはさっさと背を向けて現実のミニョを捕まえに行く。だから俺は手を伸ばした。


「これが夢じゃないって確証が欲しい」


俺はもう1度ミニョを抱きしめた。今度は優しく包み込むように、ぬくもりを確かめるように。

額にキスを落とし、赤く染まる頬に唇で触れて。

俺がミニョの目を覗き込めば、ミニョも俺を見つめ返す。

少しだけミニョの顔を上向かせると、俺はわざとゆっくり顔を近づけていった。

恥ずかし気に揺れる瞳がよく見える。そして少しずつ、少しずつ、近づいてくる艶やかな赤。そのバラのような唇に触れる寸前でミニョは目を伏せた。

柔らかな感触を味わうように楽しむように、軽くついばんでみる。上唇と下唇を交互に食んで。

何度かくり返していると、やがてミニョが控え目ではあるが、俺に合わせるように唇を動かし始めた。

強く重ねる唇。

うっすらと開いた歯の間から舌を差し入れ、ミニョの舌を探り出す。舌先で触れ、追いかけ、絡めて。


「んっ・・・んんっ・・・」


鼻から抜けるミニョの甘い声を間近で聞きながら、むさぼるような深い口づけを、角度を変え何度も何度も。

俺は崩れ落ちそうになるミニョの腰を片腕で抱えると、もう片方の手で頬を包み込んだ。

今、俺の腕の中にあるものの存在を確かめたくて、その手を頬から首へ、肩から腕へと撫でるようにすべらせていく。

途中で傷に触れたのか、ミニョは身体を強ばらせるように筋肉を収縮させた。それでも俺の背中に手を回し、キスに応え続けるミニョ。

その姿が愛おしくて。

放してやりたい。

でも放せない。

やっと手に入れたという喜びが大きすぎて、ミニョを求める気持ちが強すぎて、ミニョの身体を労わる余裕が今の俺には欠けている。

優しく包んでいたはずの俺の腕はいつの間にか力が入り、ミニョの身体を強く抱きしめ、唇を重ね続けていた。




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